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目標は中國発の世界企業 上海?プレックコンサル

新進気鋭のベンチャー企業

理想と志を掲げて「PRECCプレックコンサルティング」急成長の原動力は思いを一つにする2人の參畫

―戴懿総裁に聞く

ライター/木村未來

緊張した面持ちで訪れた筆者を迎えてくれたのは、キラキラした瞳で理想を語る3人の男達であった。大げさではなく、3人がとても眩しかった。戴懿総裁。2003年6月、市場調査や企業調査、投資?経営コンサルティングに攜わる「浦萊科諮詢(上海)有限公司」(以下、プレックコンサルティング)と人材研修や人材派遣、紹介、ヘッドハンティングをメインとした「上海浦萊科人力資源有限公司」(以下、プレックヒューマンリソーシス)の2社を設立した、理想と志を持った熱い男である。その戴総裁に惚れて集まったスタッフがほとんどだと言うプレックであるが、戴総裁の今日は、常務副総経理?武內隆明氏、法律顧問?陳軼凡氏の2人なしには語れない。そんな3人に、彼らの理想を掲げたプレックについてインタビューした。

教育が中國を発展させる―プレックの誕生

歴史が大好きで、小學生の頃から三國志や水滸伝を熱心に読み中國歴史の悠久さ、登場人物の素晴らしさに共感していた戴総裁。隣國である日本に興味を抱いた。近代化への第一歩は中國の方が早い。日清戦爭時でも中國のGDPは高かったはずだ。なのになぜ、中國は日本より遅れているのか。日本は近代化に成功し、なぜ中國は失敗したのか。反省すべきだ、そして同時に日本に學ぶべきだ。そう思った。隣國?日本に行く原動力となった率直な理由だった。

戴総裁が渡日したのは1990年、高校を卒業したその年だった。日本語を勉強すべく1年半語學學校に通った後、試験に合格して橫浜國立大學経済學部に入學し、さらに日本文部省の國費奨學金を獲得した。その後大學院を卒業するまでの6年間におよぶ留學生活を経て、1998年に渡米。ワシントン中國問題研究センターなどにて客室研究員としてアジアの通貨システムを研究し、その成果として2000年10月「通貨危機の政治経済學」(日本経済評論社)の執筆に參加し、人民元の切り上げを先駆けて唱えた。同論文は翌年、日銀のレポートにも引用され、現在においても中國金融を研究する學者の間では高い評価を集めている。

2002年、起業することを考えた當初は、日本語學校の設立を考えたという。しかしながら、設立に向けて準備を進めていく上で人材會社という形態であれば、教育?研修だけでなく人材派遣、資格証書の発行など広い意味での人材教育が可能であることが分かり、2003年6月プレックヒューマンリソーシスを設立するに至る。

また、両國の文化や習慣に精通し、かつ信頼のおけるパートナーの存在は不可欠だという考えから、同時にプレックコンサルティングも設立。現在、日本を始めとする外國に留學経験を持つ國際色豊かなスタッフ約130名が日中間の経済?文化交流における信頼あるナビゲーター、サポーターとして日中両國のクライアントに価値あるインフォメーションとサービスを提供している。

現地化に根本的な問題―外資系企業の盲點

戴総裁曰く現在、上海におけるコンサルティング會社は2萬社にのぼるという。その99%が中國系企業だが、グローバルスタンダードをもって上海に進出している外資系企業もかなりの數にのぼる。ところが戴総裁は、「素晴らしい業務プロセス、スキル、物事の考え方を中國で実踐しているにも関わらず、その現地化に問題がある」と指摘する。コンサルが提供するのは知識とアイディア。素晴らしい提案ができても中國の市場、習慣に合うか否かが問題となる。また、クライアントの體質、企業気質を理解していないとそのクライアントに相応しい方案を提案することはできない。

プレックは、外資系コンサルの持つプロフェッショナルスキル、クライアントにサービスを提供する意識、能力を有する一方、中國系企業の持つ現地に対する理解、あるいは現地で仕事を成功させるためのリソーシスのコーディネート能力を有する幅広いコンサルティングを目指している。また、企業が成功を導くためのビジネススキーム、スタッフにとって魅力ある企業制度および優秀な人材を紹介し、企業の成功をお手伝いする企業である。

グローバル企業を目指し、マックスコンサルティングとの業務提攜を開始

2004年2月、発足してわずか8ヵ月だったプレックは日本の大手生命保険會社の依頼を受け、同社の中國における展開、

そしてイメージ戦略に関わるコンサルティングを開始した。生命保険會社は実力と企業イメージがすべてである。同社は、中國においては知名度がないに等しかった。また中國でビジネス展開をするためのノウハウを有しておらず、現地に精通する人材も不足していた。

そこでまず、同社で年間40億円の売り上げを達成し、トップセールスとなった一人の中國人女性に焦點を當てた。彼女を全面に出すことで、同社のイメージを作り出し、さらに女性部隊を作ろうと試みた。

そしてプレックの全方位的な働きかけで女性部隊はその立ち上げに成功。他社と異なりすべてが女性で構成されるセールスチームであること、研修プログラムが充実していることなどが上海の女性達を動かす鍵となり、一年半に渡り毎月30名の人材を送り込むことに成功したのだ。

2005年11月15日、プレックヒューマンリソーシスは米國の人材紹介派遣大手マックスコンサルティングと業務提攜し、上海における日系および歐米系企業を対象に人材紹介事業を開始した。ニューヨークに本社を置くマックスコンサルティングは、プレックと提攜することで、中國における人事戦略や市場戦略のコンサルティングなど、幅広い顧客サービスの提供を目指している。

この度の業務提攜により、中國でキャリアを積みたいと考えているアメリカ人、中國人、日本人を対象としたサービスを提供するだけでなく、中國への進出を検討しているアメリカ企業のサポート、合弁企業の設立を検討している企業のパートナー斡旋、中國における人材紹介などのサービスを提供することが可能となる。グローバル企業を目指すプレック、その第一歩を踏み出したばかりだ。

最高の顧問を迎える―武內氏の経営參加

「米國大手証券會社の代表取締役だった武內に會うには、3人の秘書を通す必要があったんですよ」と戴総裁は2002年當時を振り返る。

武內氏は、戴総裁の友人兼相談役的存在だった。2005年8月、早稲田大學で「第20回中日経営シンポジウム」の講演を行うため、久しぶりに日本の地を踏んだ戴総経理。是非お會いしたいとメールで連絡を取ったところ、ヨーロッパから日本に戻ったばかりだった武內氏、二つ返事でOKをくれた。話をすると、瞬間的に、國際的な顧問より正式なメンバーになって欲しいという気持ちが沸いた。「すぐさま彼に、上海で會社経営に參加してほしいとプロポーズしました」と笑う。

突然の要請に驚くも、戴総裁の人柄を良く知っていた武內氏は2005年8月末、上海を訪れる。プレックの活気と成長振りに圧倒された武內氏。アメリカの名門大學を卒業後、大手証券會社の調査アナリストとして活躍。その後もUBS、ゴールドマン、プルデンシャルなど數々の大手金融機関の要職を歴任した経歴の持ち主である。今までに縁のなかった中國にあるプレックというベンチャー企業に経営參加することは大きなリスクを伴うチャレンジに他ならない。

そして同年10月末、プレックの合宿に參加することを目的として、再度上海を訪れた。プレックの管理職者が參加する合宿で、武內氏は中國に足を踏み入れる決意が固まったという。現在、セミナーの開催などで世界各地を飛び回りながら、企業のクオリティ管理、プロジェクト管理、企業リサーチ、投資コンサル分野で活躍中である。

「理想」と「志」で繋がる縁―法律顧問?陳氏が入社

戴総裁と陳軼凡氏との出會いは10年前。1996年當時日本で大學院生だった戴総裁は、中國語新聞のコラムへの執筆活動

を行っていた。あるきっかけから開催することになった「文化大革命30周年のシンポジウム」。そこに參加していたのが陳氏だった。大學の學費や生活費のアルバイトのため寢不足と疲労のため青白い顔でシンポジウムに參加していた陳氏は、日本に來て3年目の大學二年生。苦しい狀況下にあっても祖國を想う気持ちを持っている陳氏に志を感じた。出會ったその日に意気投合し、理想を語り合った二人は、話せば話すほど、その共通する想いに強い絆の存在を感じずにはいられなかった。

そしてしばらく別々の道で努力を重ねてきた二人が2006年、仕事上でのパートナーシップを結んだ。実務経験を積むため中央大學の法學博士課程を中退し、2002年より上海の最有力法務コンサルティング會社にて先鋭弁護士の一人としてパートナー參加していた陳氏。「同じ志を持つもの同士、一緒に夢を実現しようではないか」とアプローチ。二人の想いは再度繋がり2006年2月、陳氏、プレックの主力メンバーの一員となる。

急成長の秘訣―徹底したスタッフ教育と管理職合宿

競爭が激しい中國市場においてプレックは、目を見張るほどの成長振りを見せた。その背後には、じつに徹底したスタッフ教育と管理職合宿があった。

プレックのスタッフ教育は、3つのアプローチで構成されている。まず1つ目は新人教育である。新入社員には、企業文化を學ぶこと、また職務研修を目的とした1週間の入社研修を実施している。2つ目に、勉強會の開催。週に一度行われる勉強會では、それぞれが擔當業務內容を発表する。また業務ノウハウをシェアするため、通常の業務におけるケーススタディを挙げ、全員で考える時間をとる。その他、急成長している會社の人事部長を招き講演會を開催するなど、スタッフが常に新しいものを吸収できる場を設けている。

3つ目は、意識教育。創業以來、週間の経営方針を始め、社會問題、気づいたことなどをまとめエッセーにして、スタッフ全員に週計畫とともにメール送付してきた。また素晴らしい本に出會えば、購入してスタッフに配るなど、スタッフの意識教育には余念がない。

四半期に一度は、管理職のための合宿を開催。會社と自己を分析しながら、會社に対する認識に基づいた反省、弱點の分析、他人の分析などについて意見を出し合う。また、會社の方針や業績を発表することで、今後の目標を明確にすることもその大きな目的である。

そして、武內氏、陳氏との合宿は1ヵ月に一度行われている。盡きることない理想を語ることで、3人は常に思いを一つにしている。

理想は高く―中國に根付くグローバル企業を目指して

外資系企業は中國の発展に欠かせない存在だ、と戴総裁は言う。中國のホワイトカラー層は外資系企業に生まれ、育てられた。管理ノウハウ、技術などを外資企業により學び、中國社會は大きく前進した。今後は日系企業を含む外資系企業の中國進出をサポートしたい。さらに多くの外資系企業が中國において成功を収めれば、もっと多くの中國人を雇用でき、教育?育成できると目を輝かせる。海外進出する中國企業も増えてきた。そんな中で、中國企業を管理する國際人材の育成をサポートしていきたいと、夢は大きく広がる。

社名プレック(PRECC)は、P r o f e s s i o n a l、R e l i a b l e、Executive、Coordinatingの頭文字をとったもので、同社の経営理念と経営方針、企業文化を表す。まさに戴総裁の理想とする5つの理念が一體化した同社に相応しい社名だ。プレックは今後も世界を見據えながら、現地に密著したサービスを提供していく。3人の男達のこれからは、まだ始まったばかりだ。

寫真:(左から)武內氏、戴総裁、陳氏

出典:『大上海圏日企情報PRESS』6月號/ 発行元

「大陸共同メデイア株式會社」

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