1億2000萬ヘクタールを死守せよ
「退耕還林には補助手當てが出るし、若い人はみな都市に出稼ぎに行くので、林地の世話は家に殘った老人がやる。だから村の中には畑を耕す人が誰もいない」と盧さんは言う。こうした狀況は中國の農村ではもはやありふれた光景で、一部の地方政府は農民の耕作を奨勵するため1ヘクタールにつき3000元の奨勵金を出しているが、それでも耕作を希望する人は少ない。
しかし、中國の耕地はすでにかなり欠乏しており、耕地面積は國土面積の約10%で、そのうち83.2%の生産量が中~低程度で、山地、丘陵、高原地區に位置する耕地は66%を占める。
2000年以降、中國の耕地が毎年減りつづけている主な原因は「退耕還林」だ。06年を例にとると、國土資源部の統計では、生態建設のために減少した耕地は33萬9300ヘクタール、構造物の建築のために減少した耕地は25萬8500ヘクタールだ。
國土資源部の調査?研究によると、西部地區において15度以上の傾斜地で同プロジェクトの対象となる土地は647萬ヘクタールを超える。実際には、96年から05年までにすでに667萬ヘクタール近くが耕作をやめている。これは中止すべき耕作はすべて中止したことを意味するが、実地調査では傾斜耕地が依然として多くあることが判明した。つまり、すでに耕作を中止した667萬ヘクタールの中に特別保護農地が含まれており、一部では中止すべきでない耕地で耕作が中止され、中止すべき耕地が依然として殘っているということだ。
土地法を専門とする南京大學の瀋守愚教授は、こうした事態を「中國の人口はまだなお伸びつづける見込みで、食の安全が厳しく求められている。耕地の死守は將來の中國の食の安全を保証するものだが、現狀では耕地が不足している」として憂慮する。
現在、中國の人口は13億1000萬人だ。今後20年間で1億4000萬人が増え、14億5000萬人をピークとして徐々に減少していくと見込まれる。『財経』誌によると、中國の年間食糧消費量は約5000億kg、1ヘクタールあたりの年間食糧生産量は4500kgで、需給バランスを保つためには少なくともあと1億1300萬ヘクタールの耕地が必要だ。しかし、現在の1億2200萬ヘクタールの耕地のうち安定した生産量を確保できる特別保護農地は1億700萬ヘクタールあまりだ。
政策決定者らは耕地流失の狀況も憂慮しており、國務院はかつて、耕地総面積1億2000萬ヘクタールで持ちこたえられるのは15年間、2020年までと見ていた。しかし、06年には全國で30萬6800ヘクタールの耕地が減少しており、このピッチで減少すれば7年後には1億2000萬ヘクタールというデッドラインを突破してしまう。 國土資源部の徐紹史部長はかつて記者會見の席上、痛恨の思いをこめ「われわれは1億2000萬ヘクタールのデッドラインを何としても死守しなければならない。これは絶対に負けられず、勝利するしかない「耕地防衛線」だと語った。