経済低迷がわれわれにもたらすものは不幸ばかりではない。米國には主に経済學者や心理學者らで構成された、やや悲観主義的な色合いを帯びた調査チームがあり、次の問いへの答を見いだそうとしている。「過去10年間に人々の生活スタイルはより賢明なものになっただろうか」という問いだ。「國際金融報」が伝えた。
同チームの答は「ノー」だ。経済衰退期は(経済繁栄期や経済低迷期に比べれば)人々の生活にとってはよいものである可能性が高い。こうした時期にはアルコールの摂取や喫煙が控えられ、體重も減少する。またより高いレベルの教育が求められるようになり、空気がきれいになり、道路も渋滯しなくなるという。
スタンフォード大學とノースカロライナ大學の研究者が行った調査によると、経済が順調な時期には、各階層とも自分の健康にあまり関心を向けなくなり、家族に対する関心も薄れるという。そうした時期にはスポーツクラブの會員証を手に入れることが賢明な行為とみなされるが、アルコール摂取量は高まり、高脂肪の食品を控えることもなくなる。だが経済後退期には、より多くの余暇を手にするので、友人を訪ねたり、年長者の世話をしたりすることができるようになる。子供のケアにもより多くの力を注げるようになり、大金を払って子供を夜まで學童保育に預けて萬事事足れりとする風潮が改まる。
スタンフォード大學のグラント?ミラー助教によると、経済繁栄期には人々は職場でがんばり、よりよい生活のために朝9時から夕方5時まで一所懸命に働く。すると重々しい圧力がのしかかり、自身の健康を顧みる余裕がなくなる。定時に家に帰って食事をしたり、定期的に體を動かしたりするということは、彼らにとっては金を稼ぐ時間を浪費しているようなものだという。これが現狀だ。だが経済が低迷し始め、所得が減り、失業者が増加すると、若年層は自身の學歴は不十分だと考え、経済的圧力に迫られて勉強したり充電したりする時間を求めるようになる。中高年層は所得が非常に少なくなるので、前倒しで退職する道を選ぶようになる。