國務院の溫家寶総理はこのほど、3月の貿易赤字が80億ドルを上回る見通しを示した。04年5月以降70カ月続いた中國の貿易黒字に終止符を打つ。これについて専門家は、人民元切り上げに対する市場予測が短期的に弱まるとの見方を示す。
▽貿易赤字で人民元切り上げ予測が弱まるか?
商務部の陳徳銘部長はこのほど、今年1-2月にかけ貿易黒字が50%減少し、3月には赤字に転じるとの見方が強いことを明らかにした。実際、昨年10月以降、中國の貿易黒字は月ごとに右肩下がりが続いていた。昨年10月に240億ドルだった貿易黒字は翌11月には191億ドル、12月には184億ドル、今年1月に入ると142億ドル、2月には76億ドルにまで落ち込んだ。今年入って2カ月で黒字額は前年同期に比べ50.4%も減少した。
業界関係者によると、黒字が月ごとに減少しているのは、世界的な金融危機が爆発後、中國経済は他國に先駆けて回復した。中國は今年も継続している経済刺激策で外需よりも內需が拡大し、これが輸出よりも輸入増加につながる直接的な原因となっている。
このほかに國外の大口商品の価格上昇により輸入額が増加している。稅関総署はかつて、今年に入って2カ月で中國の主な大口商品の輸入量と輸入価格がいずれも上昇していると公表した。鉄鋼石の輸入価格は1トン93ドル、大豆の輸入価格は1トン462.6ドルといずれも16.6%も上昇した。
昨年12月以降貿易黒字が減少し続け、3月に貿易赤字になると、米國との協議の手駒が増え、人民元切り上げ予測も短期的には弱まるだろう、とアナリストは分析する。