英文紙「中國日報」(チャイナデイリー)は27日、ステファン?ローチ氏による次のような論評を発表した。
最近、中國の労働力コスト上昇について議論がかまびすしいが、中國の労働力のアービトラージによる優位點がすでに終わったと宣告するのは時期尚早だと考える。國際的レベルと比較すれば、中國の給與水準は依然として低く、中國で最近起こっている給與の引き上げは、中國に低廉な労働力コストという優位點を失わせるものではあり得ない。
最近の中國國內での給與水準引き上げの主な根拠は、2004年3月1日に試行された「最低賃金の規定」だ。この規定は各地の最低賃金の基準を、最低でも2年に1回調整するよう求めている。だが2008年は金融危機が発生し、中國の輸出は深刻な打撃を受け、経済は巨大な圧力に直面した。金融危機に対応するため、中國政府は08年の給與引き上げ計畫の実施を當面見合わせることを決定した。
現在、中國は金融危機への対処で著しい成果を上げ、グローバル経済情勢も安定に向かっており、これまでの緊急対応措置は明らかにその必要性を失った。そこで登場した最近の給與引き上げの動きは、08年に上がり損ねた給與の穴埋めをしようとするものに過ぎない。
世界各國の高い労働力コストに比較して、中國の労働力の競爭力は依然として高い。米國労働省が09年4月に発表した労働に関する月間報告「マンスリーレイバーレビュー」のデータによると、06年の中國の労働力コストは1時間あたり0.81ドルで、米國の同期のコスト水準のわずか2.7%に過ぎず、日本の3.4%、歐州連合(EU)の2.2%だった。
06年のデータは古すぎるが、それでもここから、中國と先進國とでは労働力コストで巨大な隔たりがあることがうかがえる。よって、中國が再び給與を引き上げたとしても、この溝を埋めることは難しいといえる。