米大手証券リーマン?ブラザーズの経営破綻から2年過ぎたが、世界経済はいまだ先行きが見えない。インフレが激しい勢いで進行する中、各國の中央銀行は思案の結果、依然として流動性供給を維持している。
歐州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は17日、債券買い取りプログラムを終了するべきとの見方には同意せず、各加盟國の中央銀行に対し現行の金融政策を厳格に実施するよう求めた。また、財政赤字の削減に有力な措置を講じるよう再度懇請するとともに、予算の規定に違反した國には厳しい懲罰を行うと述べた。さらに、ユーロ圏の現行の金利水準や量的金融緩和政策は適當であり、各加盟國は現行の政策を厳守しなければならないと指摘した。
ウェーバー獨連銀総裁は13日、金融危機に対応するための債券買い取りプログラムは直ちに終了させるべきとの見方を示している。トリシェ総裁はこれに対し、「この発言はECBを代表するものではない」とし、現在は同プログラム終了の適當な時機ではないと述べた。
米連邦準備理事會(FRB)のバーナンキ議長は15日、低水準のインフレ率と高水準の失業率は、米金融政策の一段の緩和の必要性を示しているとの認識を示した。
失業率が10%前後という高水準にある上、インフレ率はFRBの目標値を下回っていることから、バーナンキ議長らは経済を刺激して成長を促す措置を考えている。9月21日開催の米連邦公開市場委員會(FOMC)の議事録によると、政策金利をゼロ付近に引き下げ、1兆7000億ドル相當の証券を買い入れる措置を実施した後、國債購入による自身のバランスシートの拡大や市場のインフレ予想を引き上げる戦略を検討しているという。
英民間調査機関の経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)は18日、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は政府の支出削減によって経済にかかる圧力を軽減するために、國債などを買い取る緊急措置の規模を1000億ポンド拡大するとの見方を示した。
CEBRはまた、イングランド銀行は基準金利を2012年末まで過去最低水準の0.5%に據え置くとともに、最大限の金融緩和によって支出削減の影響に対応すると予想している。
大口商品価格が暴騰
今年10月以降、大口商品の価格が全體的に上昇しており、とりわけ綿花、砂糖、天然ゴムなどのソフト商品にその傾向が強い。10月1日から現在までの國際先物市場のトウモロコシ、綿花、砂糖、亜鉛、銀の上昇幅はいずれも10%以上である。
米農務省が8日発表した10月の需給報告で、大豆の栽培面積、単位面積の収穫高、生産量、期末在庫を大幅に下方修正したことで、同日のシカゴ商品取引所(CBOT)の3大主力商品――大豆、小麥、トウモロコシはいずれもストップ高になった。米國內の商品市況は11日も「暴騰」し、トウモロコシ、油脂、ゴム、亜鉛などがストップ高となった上、中國A株市場の関連株のストップ高も誘発した。非鉄金屬株はとくに注目され、一部銘柄は連続ストップ高となった。
國際原油価格は16カ月におよぶ調整を経て、上昇が見込まれ、今後は1バレル100ドルに上昇する見通しである。また、ロンドン銅相場の次の目標値は過去最高1トン9000ドルであり、金融政策が変わらなければ1トン10000ドルまで上昇する可能性がある。
9月30日より、わずか6営業日で、上海総合指數は2600ポイントから2900ポイント以上に上昇し、ハンセン指數は22200ポイントから23800ポイントに、ダウジョーンズ工業平均は10800ポイントから11100ポイントにそれぞれ上昇した。金相場は一挙に1300ドルの大臺を突破して1400ドルに向った。銀相場も急激に上昇し、國慶節(10月1日)前は19ドルだったが、現在は23ドルに達している。
ロイター通信の調査によると、FRBによる追加の量的緩和の予想レンジは5000億~1兆5000億ドル。FRBは市場に対し金融緩和に踏み切るシグナルをはっきりと出しており、米ドル指數も大量のドル売りによって再び下落している。予言はすでに現実のものとなり、世界的な資産バブルが生成されつつあるのである。しかし、もし米ドルがダウントレンドから転換すれば、商品価格も下降するだろう。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2010年10月21日