中國経済改革研究基金會國民経済研究所の樊綱所長はこのほど、第8回上海理財博覧會高層フォーラムに出席した際、「中國にとって経済成長の維持は問題ではなく、やや過熱する懸念さえある。今年の中國の國內総生産(GDP)成長率は10%前後に達する可能性がある。當面のインフレは主に輸入によるインフレであり、現在の中國には重度のインフレが出現する可能性はない」と発言した。「人民日報」海外版が伝えた。
樊所長は次のように述べた。
2010年の中國経済は、05年や06年ほど熱くはないものの、GDPは10%の成長率を達成できる見込みがあり、11年も8%から9%の水準を維持するものとみられる。
価格は上昇しているが、全面的な過熱が引き起こしたものではなく、全面的で厳格な引き締め政策を打ち出す必要はない。
価格上昇は國內食品市場の需給によって解釈するのも難しい、今年はなお豊作の年で、秋に収穫された穀物の生産量は過去最高に達し、國內では大口商品の需給関係が安定している。よって現在の中國のインフレはやはり、主として國際穀物価格の大幅上昇が引き起こした輸入型のインフレだといえる。
このほかインフレ観測も國內のインフレを推進した。米國が追加の量的緩和政策をうち出すと、世界には流動性が増加するとの観測が流れ、引き続いて中國に外貨資本が流入するとの観測が流れ、これによって中國のインフレ観測が増大し、中國國內の価格にも影響を與えた。こうした意味から考えても、中國の現在のインフレは輸入型のインフレだといえる。
中國には06年や08年のような(8%前後の)重度のインフレは出現しない。世界の金融バブルはすでに崩壊しており、世界の穀物価格の上昇は當時ほど激しくはなく、また世界経済の流動性も當時ほど大きくはない。米國が量的緩和政策を実施しても、流出する通貨はそれほど多くない。なぜなら今の米國では通貨の回転ペースが大幅に減速しているからだ。
インフレと流動性の過剰との間には深い関係がある。現在、中國のM2(広義マネーサプライ)の対GDP比は約190%にも達しており、これはおおかた外貨の流入によるものだ。たとえば企業や個人が海外から1ドルを持ち帰ると、中國人民銀行(中央銀行)は両替で7元を支払わなくてはならず、このような狀況が人民元の増加を直接引き起こしているといえる。
過剰な流動性を解決するにはどうすればよいか。まずリスクヘッジを行い、一部の通貨を凍結することだ。この方面で中央銀行はさまざまな操作を行っている。たとえば年初以來3回にわたって預金準備率を引き上げ、現在の銀行の準備率は18%に達している。次は中央銀行が「中央銀行手形」を商業銀行に売り、商業銀行は手形を買って中央銀行に人民元を支払うことだ。最後に通貨當局が貸出に限度額を設けるなどの方法を取ることだ。これにより一連の商業銀行は法定準備金を上回る超過準備金が増加し、流動性が相當減少することになる。試算では、発行された通貨の約4分の1が凍結されることになる。
このほかインフレと密接に関連するもう一つの問題は資産価格のバブルだ。昨年末から今年初めにかけて、中國の一部の大都市で不動産市場にバブルが出現したが、今は落ち著いており、二線都市や三線都市の不動産価格を牽引するとも考えられない。このことから調整政策の中心的な作用が現れたということがわかる。中國は各國の経験や教訓を吸収して、資産バブルを、特に不動産市場のバブルをしっかり防がなくてはならない。米國経済や日本経済は不動産バブル崩壊によって深いダメージを負っているからだ。
「人民網日本語版」2010年11月22日