野田佳彥首相は10日、環太平洋経済連攜協定(TPP)への交渉參加を正式に表明する方針。12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力會議(APEC)首脳會議で、日本の參加を求めてきたオバマ米大統領に交渉參加の方針を伝える見通しだ。中國國営の新華社通信(電子版)が伝えた。
日本総合研究所の主席研究員、山田久氏は記者の取材に対し、「TPP參加がもたらす経済効果はそれほど期待できないが、日本は世界の貿易自由化の流れに乗ることで、農業などの分野における改革と市場開放を推し進めたい考え」と分析。その上で「日本は中國や韓國などアジア各國との経済協力も強化し、米國への追隨を避けるべきだ」と指摘した。
TPP參加を積極的に進めているのは日本の産業界だ。これには日本が貿易自由化で韓國など隣國を大きくリードしていることが背景にある。韓國は今年、歐州連合(EU)、米國と自由貿易協定(FTA)を相次いで締結したほか、ウォン安を追い風として自動車や電子など日本の優位産業で急速な追い上げをみせており、日本では危機感が高まっている。
山田氏によると、日本がTPP參加を急ぐ理由はそれだけではない。日本はこの十數年、農業など一部の國內産業の制約により、経済グローバル化や貿易自由化の面で明らかに出遅れたことが根底にあるという。
日本がほかの國とFTA交渉を行う上で最大の障害が農業問題だ。日本は東南アジア諸國連合(ASEAN)とのFTAやインドとの経済連攜協定(EPA)で、農牧産副産物約1千種類に対する関稅をなお據え置いており、米を例に取れば、輸入関稅は780%に及ぶ。