當然のことながら、中國は直接交換がもたらすリスクやデメリットも考えなくてはならない。とりわけ世界的な金融リスクが増大し、広がる時期にあって、より理性的に情況を評価し、合理的にタイミングをつかむ必要がある。中國は日本円の資質や國際的地位について理性的に考える必要がある。國際準備通貨の取引における日本円の影響力は低下しつつあり、ここから取引通貨の種類を拡大するにあたっては數量の設定を考える必要があり、通貨の基礎的な情況や市場の情況の変化も考える必要があるとの警告が読みとれる。
取引量を変更する場合は通貨制度や金融業の経験と連動して行わなければならない。現在、人民元の國際化プロセスでは設定された通貨の數量の増加傾向が顕著だが、中國は通貨の実際の効果を軽視してはならず、市場と制度についてより多く検討する必要があり、為替レートの変動幅拡大や人民元と日本円との直接取引など一連の動きはすべて銀行間の外為取引市場に限定される。通貨の交換や取引通貨の種類拡大は必ずしもすべてがプラスになるわけではなく、リスクが発生する土臺の相違に警戒する必要がある。また人民元と日本円との直接交換の數量は拡大したが、その背後には米ドルが引き続き価格を設定しているという事実がある。人民元の日本円に対する変動幅は人民元の米ドルに対する為替レートの変動によって決まるため、今回の直接交換スタートが國際通貨システムの基本的な局面を変えるということはなく、通貨ツールの土臺や政策の効果については通貨制度を大前提として全面的な考察が必要になる。