多くの外資系企業が近年、中國で伸び悩んでいる。外資系小売企業は中國で人員削減し、閉店している。外資系銀行業の業績成長率と市場シェアが、同時に低下している。日本企業が中國から撤退している――これらは近年よくニュースになっている話題だ。成長目覚ましいインターネット分野でも、多くの外資系企業は中國企業に負けている。Uberは滴滴に破れ、Airbnbは小豬短租に及ばない。これとは対照的に、中國現地のIT企業が飛ぶ鳥を落とす勢いで発展している。
外資系企業が中國市場で失敗していることには、多くの原因がある。外資系企業は超國民待遇が取り消されたが、まだこれに適応していない。さらに経済成長に伴い、中國での人件費、稅金、リースなどの各種コストが年々増加し、一部の外資系企業の利益が損なわれている。しかし筆者は他にも、中國企業と外資系企業の、異なる企業文化という重要な原因があると感じている。
中國人の現在の所得水準は、當然ながら西側の先進國(外資系企業の母國)に及ばない。そのため中國の従業員は多めに働こうとし、職場で激しい競爭を展開する。なるべく休みたいと考える中國の従業員であっても、同僚と競爭せざるを得ない。そのため普遍的な殘業と激務が、中國企業の常態になっており、特定の場においては積極的なイメージと化している。
その一方で、多くの外資系企業の従業員の大多數が中國人だが、取締役は外國人で、企業文化や財務制度は母國と密接に関連している。中國企業であれば1カ月100時間の殘業代を支給できるが、外資系企業では財務的もしくは企業制度的に適切な名目が見つかりにくい。さらに外資系企業の文化的雰囲気は、この殘業を制限している。
それでは、これは外資系企業の競爭力に影響するだろうか。
従業員が快適であることは、當然ながら企業が失敗する原因ではない。アップルやグーグルの従業員はより緩やかな環境を手にしているが、彼らの創造力により両社はこの地球で最強の企業であり続ける。しかし創造力と関連するのは、知識、経験、熱意、闘志、活発な議論の雰囲気、平等な仕事環境などだ。中國の民間企業、特にIT企業はこれをよく學んでいる。創造力と労働時間は、関連するとは限らない。労働時間が長いからといって、創造力が低下するわけではない。ジョブズ氏の勤労は、その創造力を落とさなかった。
それならばより長く激務に耐え、創造力豊かな従業員のいる中國企業が、市場の競爭で勝利を収めるのは合理的なことだ。戦後日本の高度成長期も、その時代の人々の勤労によって生み出された。そのため外資系企業の緩やかな環境が、その競爭力を落とすことは間違いない。(筆者:劉遠挙 上海金融?法律研究院研究員)
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月3日