米政府は近年、製造業の國內回帰と、自國の実體経済の競爭力の強化を促す際に、より強硬で多元的で直接的な動きを見せている。しかしながら海外メディアの報道によると、米國側のこれらのやり方は予想されていた効果を手にしていない、もしくは製造業のさらなる國內回帰を促していない。多くの企業はより高い関稅を支払うことになろうとも、依然として人件費の安いメキシコで生産活動を維持している。つまり米國の製造業の國內回帰が「橫取り」された。
地域的なメリット、基礎的條件、既存の産業?貿易関係を見ると、1億3000萬人の人口を持ち労働力が豊かなメキシコは、米國の製造業國內回帰、特に「ニアショア開発」の発展において避けられない最重要協力パートナーだ。メキシコはG20の重要メンバーであり、1994年1月に設立された北米自由貿易協定(NAFTA)及び2020年7月に発効した米國?メキシコ?カナダ協定(USMCA)の重要メンバーだ。今年1?4月のデータによると、メキシコは米國にとって最大の輸入先となっている。
メキシコは近年、ソフトウェアアウトソーシングの受け入れ、自動車及び消費者用電子機器、サプライチェーン管理、インフラ整備などの面で急速に発展し、世界の貿易構造及びサプライチェーン中樞の再構築を試みる米國が重視する「価値の窪地」になった。しかしその一方で、世界のサプライチェーン構造の変遷に対応する中國の重要な協力パートナーであるメキシコは、中國企業の世界的な産業構成調整の対象國の一つでもある。メキシコの電気自動車(EV)分野におけるほぼすべての製造業及び関連産業に中國企業が投資している。中國とメキシコの毎年1100億ドルの貿易額は、二國間投資?貿易が高水準を保っていることを十分に示している。
當然ながら世界の産業発展と構造の変遷には獨自の法則がある。先進國の製造業國內回帰及び現在生じているサプライチェーン再構築はさらに非常に複雑なプロセスだ。米國は製造業國內回帰の機は熟していると稱しており、2022年の製造業関連の建築支出は驚異の1080億ドルにのぼった。ところが長期的な発展の流れを見ると、特に米國の製造業國內回帰がメキシコに「橫取り」され、中國とメキシコを含む切っても切れない複雑な経済?貿易関係を見ると、米政府がイデオロギーの偏見と地政學的な目論見が混ざる製造業國內回帰の目標を達成し、現在の1200萬人超の雇用規模を80年代の1700萬人超のピークに戻すのは不可能だ。米國の製造業國內回帰の先行きに期待する米コンサルティング會社のカーニーでさえ、先ほど発表した米國製造業國內回帰指數報告書の中で「回帰はすでに顕在化しているが、道は険しく長い」とため息を漏らしたほどだ。
(筆者=章玉貴?上海外國語大學國際金融貿易學院教授、博士課程指導教員)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2023年8月2日