アップルの新製品発表は近年、重大なイノベーションがなく性能の漸次的な最適化に留まることが常態化している。今秋の発表は市場でより大きな懸念を引き起こしたようだが、これは同業の競合他社による優れたイノベーションと関係している。イノベーションけん引のテック業界で、アップルはイノベーションという本質的な問題に直面している。
アップルは米國市場の本拠地において、米政府の政治的な排斥から利益を受け、主な競合他社はサムスンのみとなっている。米國は事実上、世界で競爭が最も乏しい攜帯電話市場だ。多層的に構築された「保護主義」により、アップルは米國市場で53%と過半數のシェアを占めている。またアップルは近年、中國市場でも大きく成長した。
ファーウェイへの先端半導體禁輸による最大の受益者であるアップルの時価総額は、2020年に2兆ドルを、22年に3兆ドルを突破した。米政府の市場以外の力により、アップルは公平な競爭環境が長期的に欠如したぬるま湯に慣れていると言える。これはアップルの過去の成功ストーリーの全貌ではないが、確かに見落とせない要素だ。このモデルはイノベーションと競爭の回帰により必然的に継続困難に陥る。
インターネットの獨占禁止制度の持続的な改善、ハイエンド市場における競合他社の持続的なイノベーション、AIがけん引する新たな技術イノベーションの波により、アップルは徐々にぬるま湯を出て、創意とイノベーションの道に戻るしかない。政治的な干渉、保護主義、市場の獨占を歴史のゴミ箱に捨て、イノベーションと公平な競爭で未來の発展をけん引させる。これは世界のスマホ業界の主旋律、世界のスマホ市場の需要、人類のデジタル文明の歩みにおける需要であるべきだ。(筆者?方興東浙江大學國際伝播センター執行主任、烏鎮デジタル文明研究院院長)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2023年9月13日