米通商代表部は先月、中國の海事?物流?造船業を対象とする通商法301條調査の開始を発表した。この調査により、米國の港に停泊する中國製船舶に関稅を課すことになる可能性がある。5日付英紙「フィナンシャル?タイムズ」は、「バイデン政権はこの措置により中國造船業の発展を抑制し、米國本土の造船の実力を高めようとしているが、これは米國に利益をもたらさず、韓國と日本という2つの造船業大國に利益をもたらすだけだ」と分析した。
コンサルティング會社のレダルのデータによると、中國は世界一の造船大國で、世界で46%の市場シェアを占めている。韓國は2位で41%、日本は3位で10%、米國は1%未満。
海運調査機関のMSIのニコル理事によると、米國の造船コストは現在その他の國の3?4倍で、米國の造船業は數十年に渡り海外の購入者に向け船舶を建造していない。中國には船舶を効率的に建造できる新しい造船所があり、勤勉で技術力があり人件費が安い造船労働者がいる。また現在は世界の95%以上のコンテナが中國製で、世界の取扱量が最大の10のコンテナ港のうち7港が中國にある。バイデン政権は中國造船業の世界市場における有利な立場を崩し、米國本土の造船業を振興しようとしているが、これは非常に困難と分析されている。
また日本と韓國はさまざまな手段により、その造船業の競爭力を上げている。現代重工業、サムスン重工業、ハンファオーシャンなどの韓國の造船企業が、高価値の液化天然ガス(LNG)運搬船と低排出船舶に重點を置いている。ある韓國の業界內の重役は、「中國がLNG運搬船で追い上げることは不可避であり、そのため韓國側はアンモニア推進船などの新製品の研究開発を続けている」と述べた。市場で新型船舶の需要が旺盛なため、中國企業は受注獲得によりLNG運搬船の建造技術を発展させている。一部の日本の造船企業は合併により実力を強化している。また一部の日本企業はハイテク路線を選び、低排出船舶の研究開発に取り組んでいる。
海運調査機関のDrewryのばら荷研究シニアマネージャーは、米國が中國製の船舶に関稅を課すならば、中國の造船所が影響を受けるかも知れないが、その他の國にこの発注先の不在を補う十分な生産能力があるかは「大きな問題」と述べた。韓國の造船業の重役も、「市場ではLNG運搬船の需要が旺盛で、韓國の造船業はすべての注文を消化できない。生産能力とマンパワーに限りがあるからだ」と述べた。世界の海運専門紙「ロイズリスト」のアナリストであるウィルミントン氏は、「世界では船舶新規建造の需要が拡大を続けており、特に環境にやさしい船舶の需要が旺盛で、大きなマーケットがある。私は中國が世界の造船の注文を100%獨占しようとしているとは思わない」との見方を示した。
レダルの重役は、「米國が中國製の船舶から関稅もしくは港灣稅を取るならば、そのコストは米國の消費者に転嫁される。この措置で日本や韓國が利益を手にするかもしれないが、それが米國に及ばないことは確実だ」と述べた。野村證券の前川健太郎アナリストも、関稅により世界の造船業の構造を大きく変えるのは困難とした。
?中國網日本語版(チャイナネット)?2024年5月8日