ところが、モンゴル高気圧の影響により、敦煌地域の気候は非常に乾燥しており、砂あらしにも頻繁に見舞われ、年間の降水量はわずか40ミリであるのに、蒸発量はなんと4300ミリにも達し、典型的な砂漠の気候の特徴をもつ。そのうえ、莫高窟は鳴沙山と隣り合わせとなっていて、砂巖によって築造されているため、千年いらい、風食、砂塵、地震、雨の浸食などの影響をうけ、壁畫は変色したり、脫落したりして、破壊が進んでいる。特に砂あらしの破壊作用は大きく、壁畫や彫塑が殘されている492の洞窟のうち、250の洞窟と4000平方メートルの壁畫は砂あらしの侵害により劣化が目立っているという。
20世紀40年代から、人々は砂あらしを防ぐため、壁を築造したり、溝を掘ったりして、いろいろと手を盡くしてきたが、効果は望ましくない。近年らい、鳴沙山に草を植え、2キロも延べる樹木帯をつくるなどの対策が功を奏し、莫高窟地域に侵入する砂の量は80%以上減少した。
汪萬福氏によると、観光客の増加も莫高窟の保護作業にとって大きなプレッシャーとなっている。観光客の増加により、濕度と溫度の変化が起こり、壁畫の保存にマイナスの影響を及ぼしている。敦煌研究院は現在、保護作業の一環として、ハイテク技術を活用し、代表的な洞窟の複製に著手しているという。
また、敦煌の魅力を世界にPRするため、2008年、北京で大規模の敦煌蕓術展が行われることになっている。
「チャイナネット」2007年7月16日