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中國武術と日本武道

雙方を學んでみて気がついた両者の差異は、練習の目的にあると感じる。もちろん究極的な目的は、自分の體を鍛え、技を磨き、襲ってくる敵を撃退する能力を身につけること、あるいはその訓練と成果を通じて人格を磨くことにあるのは共通する大目標ではあるが、ここで述べるのはそう言った「究極的」な目標ではなく、日々の鍛錬の目標をどこに置くのかと言ったことである。

日本の武道、つまり近代に成立した空手道、柔道、日本少林寺拳法、合気道、剣道はもちろんのこと、更に伝統的な各派の古流剣術、古流柔術、相撲などにおいても、その修練は「相手」を想定した「組稽古」が重視される。

「組稽古」とはつまり2人でひと組になって、互いに攻撃する側防御する側に立って実際の攻防の技術を磨くものである。

このように相手が撃ってきた場合、こう防御して、こう反撃する

といったような「型=カタ」が存在しており、それをなぞることによって古人が築きあげてきた攻防の妙技を會得する。また「亂捕」「自由組手」等と呼ばれる自由に打突しあう実踐の稽古も頻繁に行われる。

これに対して多くの伝統的中國武術にあっては単獨での「套路」と呼ばれる一連の「型」が重視される。これを繰り返し演練することによって「內力」を練り上げ、各流派に獨特の體の使い方、攻防に対する思想、つまり「風格」を身につけることに重きが置かれるのである。このようにして練り上げた「內力」「內勁」、つまり「功夫」によって、いかなる攻撃に対してもその流派獨特の思想によって対処でき、また攻撃も可能になると言うものである。

當然ながら日本武道にも単獨で行う自分の體を鍛えるための修行方法はあるし、中國武術にも2人組以上で行う実戦形式の練習はある。しかし、その入門のごく初期段階において、日本で重視されるのはやはり「どのように相手に撃ち込んでいくか」「相手からの攻撃をどのようにかわすか」であるのに対して、中國では「いかにその流派の風格を身につけるか」が重視される傾向にあると思う。

その後の修行の過程を見ても、日本ではより難しく、高速で、激しい撃ち合いを習得していくのに対して、中國では更に高度な自己制御、難解な、體の各部分の調和や、難易度の高い姿勢の保持などが求められてくる。

あくまで、日本では「相手」に目が向けられているのに対して、中國では「自分」に注目するのである。これは非常に興味深い事象であると思う。

ここで思い起こされるのは中國の俗語(?)

一個中國人是龍、一群中國人是蟲

一個日本人是蟲、一群日本人是龍

である。

中國人は個人では立派だが、周りに目が向きにくい

日本人は1人では弱いが、上手く社會を作る

と言う程度の意味だと理解しているが、この「武技」の訓練思想からもその民族的性格の一端が透けて見えるような気がする。

それはさておき、実際に両者を學んだ者として「実戦能力」を考えると、入門から2~3年は日本武道の方が早く強くなれる気がする。練習方法が実戦的だからである。

しかし、そのまま真面目に練習を続けたとすれば、3年目頃から中國武術の逆転が始まる可能性が高い。

體の中に養った「功夫」が威力を発揮し始めるのである。いくら高速の撃ち合いに慣れていても、自分の內面の力が足りなければ、それを持っている相手を倒すことは出來ない。

もっとも、雙方とも目指す高みは同じであるわけだから、いつかはそこに優劣はなくなると思われるが、中國武術は遅伸びである分、加速がつくと速い、日本武道は速く伸びる代わりに、後で伸び悩みが來やすい、と思うのである。

華麗で実用的、でもどこか儚い、まるで桜の花のような日本武道

素樸で重厚、難解だが計り知れない力を秘めた、黃河のような中國武術

この魅力的な2つの伝統文化が、中日友好の、それにとどまらず、世界にアジアが貢獻できる1つの有力な材料として、今後共に協力し合い発展していくことを切に願うものである。

附記)ここで記したものは私の経験した內容から書かれたものであって、それぞれの指導者によって差違があることは十分に考えられる。

(筆者は松波剛史氏、日本少林寺拳法五段、陳式太極拳學習者、導引気功術四段)

「チャイナネット」

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