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中國茶文化そぞろ歩きーー大紅袍の謎を探る
発信時間: 2007-12-20 | チャイナネット

武夷巖茶は、中國茶の世界で知らぬ人はいないくらい有名な武夷山の名茶です。武夷山は、世界自然遺産としても知られ、美しい山々が連なる観光地でもあります。

今回は少々有名になりすぎた武夷巖茶のひとつ「大紅袍」について、天心永楽禪寺の住職?釈沢道禪師を訪ね、お話を伺いました。

武夷巖茶は?基本的には「武夷肉桂」や「武夷水仙」などさまざまな名前の巖茶の総稱です?しかし「大紅袍」がその伝説によって非常に有名になってしまったため?ほとんどの武夷巖茶が「大紅袍」の名前で売られているというのが現狀です?その伝説をご紹介しましょう?

その一 下賜説

(左の寫真は巖壁の上の「大紅袍」の茶樹)

昔々、皇后の腹が突然ふくらみ、苦しくなって、食事も咽を通らなくなってしまった。皇帝は醫者を呼び、さまざまな手を盡くしたが治らず、皆、色を失った。

そこで太子が皇帝の命を受けて、良醫良薬を探しに出た。太子は都を出てから四方八方必死に手を盡くして薬を探したが、見つけることが出來なかった。最後に武夷山にやってくると、そこは奇峰?怪石が連なり、林は深く道は険しい。

注意しながら歩いていくと、猛獣のほえる聲と助けを求める人の聲を聞いた。急いで駆けつけると、一匹の虎がまさに一人の老人に噛みついているところであった。太子は怒り、剣を抜いて猛虎を殺し、老人を救った。

老人は感謝して、お禮をするために太子を家に招いた。太子と話をするなかで、老人は皇后が重い病にかかっていることを知った。そこですぐに、ある崖の前に太子を連れて行き、巖の半ばにある小さな茶樹を指さして「里人の話によれば、腹がふくらみ苦

しいときには、この茶樹の葉を取り煎じて服用すれば、その効果は絶大であるといわれている」と話した。太子は非常に喜んで巖壁をよじ登り、茶樹の葉をたくさん摘んで降りてきた。

太子は晝夜を走って都へ戻り、茶葉を煎じて皇后に獻上した。一杯目を飲むとすぐにお腹に変化が現れ、二杯目を飲むとお腹がすっきりと通じ、三杯目を飲むと心は清らかで爽やかになり、薬効が現れたちまち病気が治った。皇帝はたいへん喜んで詔を賜り、その茶樹に「大紅袍」という名前を下賜された。そして、老人には「護樹將軍」という名を與えたのである。

(右の寫真は天心永楽禪寺の釈沢道禪師と筆者)

その二 狀元説

昔々?一人の秀才が都に上って科挙の試験を受けるため旅をしていた?武夷山のあたりにさしかかった時?突然腹痛を起こして痛みに耐えられなくなり?偶然出會った天心寺の住職に助けを求めた?

住職は彼の病狀を見て?すぐに部屋の中にあった陶器の入れ物の中から?一握りの乾いた茶葉を取り出し?山水を用いて大きな茶碗に茶を淹れた。秀才はこの茶湯の香りを聞き?一杯目を味わうと心が落ち著き?二杯目を味わうと腹の痛みがなくなった。しばらくすると便意を感じて?お腹がごろごろと大きな音を立て?腸の具合も良くなり?體中の骨からだるさが取れ?毛穴も広がり、たちまちのうちに病気が治った?

病気が治った後、心からの感謝を示し、住職に別れを告げて都に赴いた。その後、素晴らしい能力を発揮して科挙の試験に「狀

元」(首席)で合格。皇帝は、彼の才能が群を抜いていることと、容貌もまさに英雄、俊傑の素質を備えていることに心から喜び、娘婿として迎えた。

彼は、功成り名を遂げて故郷に帰國した。その途中、武夷山にさしかかって、かつて、天心寺の住職に命を助けられたことを思い出し、天心寺を參拝して、あのとき飲ませてもらったお茶について聞いた。住職は彼を連れて九龍スへ行き、巖壁の上にある茶樹を指さして、この樹ですよと教えた。彼は大変喜び、すぐに狀元に與えられる大紅袍(紅いマント)を脫いで、自ら茶樹に掛けた。これにより、天心寺の住職はこの茶樹を「大紅袍」と名付けたのである。

(左の寫真は武夷山の茶畑)

これらの伝説は南強著『武夷巖茶』に出てくるものですが、天心寺の釈沢道禪師によれば、いずれも明初の洪武年間(1368~1398年)に生まれたものと考えられています。

「大紅袍」の茶樹の本當の名前は、「奇丹」という名です。現在の「大紅袍」は烏龍茶ですが、伝説によって「大紅袍」という名前が付いたのであれば、武夷山で烏龍茶が生まれたのが1600年代の末であるとされていることから、それよりも300年ほど前の話ということになります。當時は緑茶の製茶法しかなかったので、烏龍茶としての「大紅袍」の伝説ではないことになります。しかし伝説とはそのようなものです。だからこそ、「大紅袍」は神秘的な名茶なのかもしれません。

(筆者は棚橋篁峰氏。中國茶文化國際検定協會會長?日中友好漢詩協會理事長?中國西北大學名譽教授? 漢詩の創作?普及?日中交流に精力的な活動を続ける?)

「人民中國」より 2007年12月20日

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