深刻な心の問題
食事の問題より、パンダの心の問題のほうがもっと大変だったという。殘されたのはいずれも子パンダなので、性格的にもまだ未成熟で、地震で受けたショックはかなり大きく、心を覆った暗い影もずっと深い。地震後、聞き慣れない、あるいは鋭く甲高い音に非常に敏感になったり、いつも耳をそばだてて周囲の変化を気にするようになったり、安全でないと感じるとすぐ、その場を離れて、木製の枠や樹木に這い上がったり、飼育場でいらいらし、不安そうに転がったりするようになった。こんな反応は地震前には見られなかった。
6頭のパンダのなかで最も意気消沈したのが、「文宇」。臥竜で唯一、地震で死んだパンダ「毛毛」の子だ。生まれつきおとなしく、目と頭は他のパンダよりずっと小さい。鄧さんは「母親がいなくなったのを意識しているはず。地震後の數日は、気持ちも動作もかなり落ち込んでいて、どうしても食べようとしないし、仲間と一緒にもならず、ひとりでぼんやりしていました」と話す。
直接觸れ合うことでパンダの心のケアをしている
こうしたなか、パンダの心をどう慰めるか、地震という暗い影からいかに早く脫け出させるかが、飼育員の最大の課題に。だが、彼らと交流するといっても容易ではなく、より多くの時間をかけて接觸し、徐々に気持ちを通わせていく以外に方法はない。鄧さんによると、飼育員の宿舎も臨時の飼育場內にあり、毎日3度、臥竜自然保護區管理局の食堂に食事に行く以外はほとんどの時間をパンダと一緒に過ごしたという。食事や寢起きに責任を負い、健康に隨時関心を寄せ、さらに一緒に遊び、ボディーランゲージで交流……。こうすることで、パンダたちはやがて飼育員を信頼するようになり、心も體の狀態も日々良くなり、運動能力も徐々に強くなっていった。心は地震前とほぼ同じように健康だ。
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