上海の人たちはかつて高層ビルを都市近代化のシンボルと見なし、高層ビルがますます多くなり、ますます高くなることを望んでいた。データーでは、1993年以降、上海市の中心部では、8階以上の建築物が毎日1棟完工していた。『上海は日ごとに背が高くなる』という歌は、その時の上海の発展の狀況を如実に描いたもの。
現在、上海には16階以上の高層建築物が4000棟あまりもあり、世界におけるランク付けではトップとなっている。ところが、そうこうしているうちに、ますます多くの上海市民は、聳え立つ高層ビルの急増に不安を覚えはじめた。
「上海の人間として、われわれはかつて高層ビルがたくさんあることを誇りとしていたが、高層ビル建設がもたらす交通、採光、空気の質などの問題が日増しに深刻化し、一部の潛在的リスクは短時日に取り除くことは困難となった。上海市人民政府は民意に耳を傾け、適時に高層建築物を制限することに乗り出し、しかも法定プロセスに基づいてそれを確実なものにした」、と上海市人民代表大會の都市建設環境保護委員會の姜燮富副主任委員は語っている。
姜燮富副主任委員の言う「法定プロセス」とは、上海市が『上海市都市計畫條例』を改正し、その中に明確に「公共緑地と公共空間を増やし、建築物の容量と高層建築物を制限する」ことを盛り込んだことを指している。上海に投資する際、オフィスビルの容積率は4平方メートル以下、住宅ビルは2.5平方メートル以下に抑えるべきであるとしている。
2003年12月1日、改正後の『上海市都市計畫條例』が実施された。2004年に、上海市人民代表大會が法律執行狀況の検査を行った結果、例年より高層建築物の総面積が360余萬平方メートル減少し、高層建築物への投資総額も400億元あまりが減少した。減少幅は、16.7%となった。
唐子來氏は同済大學の教授である。氏は、上海は都市計畫において単純に高層建築物を制限するのではなく、科學的で、理念のある姿勢をとっていると語っている。そして「各地の情況は異なっており、高い建物を建てる際には、まず需要を検討すること、次には総合的にそのプラス?マイナス効果を分析し、高層建築物の空間分布政策を制定すべきである」と指摘している。
これまでのひたすら高層建築物建設を提唱することから、今日の建物の総合的効果を全面的に考慮することへの変化は、上海市の近代化建設における発想の転換を反映するものであろう。
「チャイナネット」2005年3月25日