ワー族は主に雲(yún)南省南西部の西盟、滄源、孟連などの地域に分布し、中國では人口の比較的少ない民族の一つである。
『木鼓踴り』
「木鼓」はワー族の人々が代々受け継いで伝える「神器」(神様を祭る器具)であり、自民族が子孫を殘していくための源と見なされている。ワー族にはノアの箱舟の伝説とよく似た言い伝えがある――大昔の頃、極めて大きな洪水が陸上のあらゆる生命を呑み込んだが、「ムイジ」という神様は木槽でアワ人(ワー族人はアワ人と自稱)の人たちを救い、そのおかげでワー族は今日まで子孫を殘すことができた。そのため、ワー族は「木槽」を「ムイジ」神の霊魂を祭る「木鼓」に作り上げた。『木鼓踴り』は祭祀行事で欠くことのできない踴りである。踴りが表わしているのは「木鼓」の製作過程と完成後の人々の喜びである。
『木鼓踴り』は4つの部分からなる。最初の段落は、祈とう師の「モパ」が村全體のワー族の男性を率いて藤のつるに切られて倒れた木の莖をくくり、「モパ」は木の莖にぶらさがって音頭をとって歌い、みんなは高らかに歓聲をあげてそれに呼応しながら木の莖を引きずって進(jìn)む。この段落は古めかしさに富み、質(zhì)樸で豪放な「木鼓を引く」歌と踴りは神聖で厳かな雰囲気に満ち、ステップは自然なリズムを形成している。
第二段落に踴りの形で現(xiàn)れる「木鼓の作業(yè)場に入ること」は物真似の動作で人々が木をうがってみぞをつけ、「木鼓」を作る作業(yè)の過程を表わしたもの。
第三段落の「木鼓をたたく」ことは『木鼓踴り』のパフォーマンスの中で最も熱気に満ちた部分である。最初は1人か2人で「木鼓」をたたいて演技を始め、たたき出された音色とリズムは踴りの內(nèi)容の変化につれて変わる。踴りが盛り上がると、さらに3、4人の色絵を施したばちを手にした勇ましい男子が登場し、「木鼓」をたたきながら「木鼓」をめぐって回り、跳ね、「木鼓をたたく」喜びに沸き立つ雰囲気をクライマックスに押し上げる。
最後に、「木鼓を祭る」ことは『木鼓踴り』の神様「ムイジ」を祭るための様式化された儀禮の踴りであり、踴りの「語彙」は簡単かつ質(zhì)樸なもので、濃厚な原始的儀式の雰囲気に富むものである。
新年のお祝いのたびに、ワー族の老若男女はみな晴れ著姿で、「木鼓」をたたく音の中で『木鼓踴り』を踴り出すことになる。人々は「木鼓づくりの仕事場」をめぐって手をとり合って輪を作って踴る。彼らはひざを曲げ、腰をかがめることで「木鼓」への敬慕の念を示す。人々は時計の針が左へ回るように丸沿って緩やかに回り、しぐさは手を振って歩くことと地を蹴ることを主とする。最初の拍子は右足を右前方へ一歩出し、両腕は肘を曲げたままで頭の上まで挙げ、體を後ろの方に曲げて仰向く。次の拍子には左足のかかとで一歩地面を踏むようにして、両手を身の後ろの斜め下まで振り、體を前へ傾ける。これをくり返し、動作は法則性があり、穏やかなものである。踴りは木鼓たたきの人たちの音頭と人々の斉唱を伴奏とし、歌詞の多くは民族の歴史、祭祀と労働、生活などを內(nèi)容としたものである。
「チャイナネット」2005年6月10日