さて、こうした日本の企業、人材市場體系が、「機會の均等」に近づいていくのを肯定しましたが、中國では、大學生の就職ランキングで外資系企業が順位を落とし、國有企業のランクが上がったということです。(http://lbxysyl.com/life/txt/2010-08/06/content_20655771.htm)これは、一概に、外資系企業=「機會均等主義」、國有企業=「結果平等主義」ということは言えないと思いますが、これは、中國內大學生の志向に何らかの変化があったことをしめしていることは明らかでしょう。
これまで、中國経済を牽引してきたそのマインド的獰猛さには、「結果平等主義」から「機會均等主義」への産業構造の大きな転換への「渇望」、被雇用者からみれば、能力のみが生かされる報酬體系への「憧れ」が要素としてあったのだと思います。もし、仮に、中國人の若年層マインドが、上記のニュース調査であったように「機會均等主義の否定」の方向に向かっていくとするのであれば、それはまさに、中國の人材市場體系、そしてそれにつられて産業構造がこれから數年以上の年月をかけて、「何か違った」成功への方向性を見つけなければならないことを示します。
ハングリー精神を動機としない、新しい何らかの動機への構造的転換、果たして、「機會均等主義」否定の先に何か具體的なビジョンを持つことができるのか???、これが具體的な成功可否の主要要素となるでしょう。(これまでの成功への否定は、これからのより発展的な成功かもしれないし、むしろ失敗かもしれない。)
中國の若年層のマインドをチェックすることで、今後の中國産業の世界における競爭力がみえてきそうですね。これまでのシステムを破壊することは簡単ですが、新しいシステムを打ち立て、それを成功させることは、なかなか難しいことと思います。中國の若年層による新システムを観察していきましょう。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2010年8月10日