一方、中國のかき氷は、低価格のものであれば、日本のそれと同じようなものであります(かといって、日本の定番のブルーハワイというのは流石に目にしませんが)。いわば、シンプルに、かき氷機でかいた氷に既成品のシロップをかけるだけです。
日本との差異が顕著になるのは高級レンジのかき氷です。中國のかき氷は高級になればなるほど、新鮮なフルーツを使うようになります、そして大きさが巨大化していきます。さらに、フレッシュフルーツやタピオカといったスタンダードオプションだけでなくプリンやアイスクリーム、カステラ風ケーキなど異なるスイーツがこれでもかというだけの量で盛り込まれていくのも特徴と言えましょう。そして、高級化されたかき氷は、ブランド商品となり、これを提供するお店がチェーン店化していくのも、中華圏式「高級」の特徴であるように思います。
この庶民グルメの「かき氷」という商品について著目していますが、そもそもが安価で単純な商品であるので文化差異が出にくいものであるからこそ、微細な部分的差異に著目すると「大衆的高級」感覚というものの面白い表象文化が捉えられるのではないでしょうか。大衆商品でありながらの、低級から高級レンジの商品に日中の差異がでてきています。
日本では、「高級」というのは、裏方の職人さんのノウハウと技術と、各セクションを擔當する職人さん(専門業者)の連攜プレーであるように思います。そして、出てくるものはシンプルな佇まいでありますが、ある意味「一點もの」です。そのお店でしか味わえないものであることに価値が置かれているわけです。隠れた名店というものが最高の価値ともいえます。匠の技萌え!
中國では、「高級」というのは、所謂「豪華絢爛」。見えない職人さんの努力よりも、現物として最終商品にみえるものでの高級度が重要です。そして、無名のブランドよりも、すでに商業的に盛行しているほうが、価値が高いと思われ、消費者からの高い評価をうけます。(隠れ家的な當たりのお店のほうが価値があると思う日本的感覚とは対照的ですね)。豪華絢爛有名店が最高の価値です。
これは、商品を提供する側の差異というよりも、その提供側は商業化の末の結果でありまして、この差異の起點はそれぞれの國の消費者が、高級という概念へのそれぞれ異なった「形式美」を望んでいるといえるでしょう。日本が豪華絢爛を賛美した時代もあったので、時代の流れもあると思いますが、「職人技を真摯に追求することへの萌え文化」は脈々と受け継がれているように思われます。
「かき氷」での日中差異も細かく分析するとなかなかおもしろいでしょ?(^^)
僕は元気なときには「豪華絢爛!」というのも良いのですが、どうしても夏の暑い時期は疲れているもの。ですから、「かき氷」は、風鈴の音をききながら隠れた名店にてさらりと涼を楽しむ、というのが僕は最高の贅沢に感じます。
はてさて、加熱してしまった最近の外交問題、サラッと涼しく解決してくれる「かき氷」的ウルトラCがあればいいのですが???。
この夏最後のかき氷、食べ納め。心も身體もクールダウンしておこうじゃぁありませんか!
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2012年9月12日