※原稿作者:日本在住の「北京晩報」のコラムニスト薩蘇氏
ウェブ上のアンケートによると、多くの日本人は四川大地震に対し思いやりと同情のこもった反応を示した。これは中國人にとって一方で予期されたものでありながら、他方で思いがけないものでもあった。
予期されたものであるというのは、中日指導者の相互訪問が実現するなど、ここ數年の中日関係の進展が背景にあるためだ。小泉元首相の時代に凍り付いていた両國関係は暖かな春に向かってゆっくりと発展してきた。
しかし両國の政治家の誰一人として両國関係が一夜の間に変わると考えてはいなかった。數十年にわたる対立関係や重い歴史問題、東中國海の油田開発問題など、両國の間に橫たわる現実的な問題は、両國民の雙方に対する態度に、冷たさと疑いをおおいかぶせていた。両政府は両國関係の処理にあたって、注意深いリズムを常に保ちつづけていた。四川大地震をきっかけに雙方の見せた歩み寄りと善意が思いがけないものに感じられたのはこのためだ。
日本側は寄付金を募るほか、中國側と積極的に連絡し、救助活動のために救援隊を派遣した。日本のNHKテレビは四川大地震の寄付を募るニュースをゴールデンタイムに放送した。
日本の震災支援に対する中國側の評価は、政府と民間を問わず、肯定的なものだった。日本の救助隊は中國政府が被災地入りを許可した最初の海外救助隊となった。
世論の変化はインターネット上で大きく見られた。普段は反日的書き込みが多いとされる「強國論壇」に救援隊に対する感謝の言葉が並んだことは産経新聞でも報道された。また日本側の善意ある震災報道を筆者が中國語に翻訳してウェブ上に発表したところ、読者の反応はすべて肯定的なものだった。「家族みんなで日本救援隊の活動に注目しています。隊員たちが死神の手からより多くの命を取り戻してくれることを願っています。(これまで)16時間の努力は完全に成功したとはいえないけれど、その活動はしっかりと見ました。とても感謝しています!」。
日本のウェブサイトにも変化が起こっている。感情をあまり表に出さないという國民性も影響したか、日本のサイトの多くは普段、感情のはきだめのようになっている。どんな事柄に対しても肯定的な評価は少ない。しかし今回の地震に関しては、日本のウェブ世論も中國への善意に満ちている。たとえば日本救援隊に向けられた中國側の感謝を報道したヤフーのニュースで最も高い人気を得たコメントは、救援隊の活動は外務省や政治家の外交活動よりも両國民の心を近付けたというものだった。
「人民網日本語版」2008年5月23日