アジア平和貢獻センターの西原春夫理事長
次に、アジア平和貢獻センターの西原春夫理事長が「孫文研究の現代的意義――ヨーロッパ史の影響という観點に重點を置いて」と題する基調講演を行った。西原春夫理事長は、「辛亥革命の意義を『大きな歴史の流れ』との関連でとらえるという場合、その中心には『近代ヨーロッパにおける帝國主義の成り行きとその影響』がある。これこそが、辛亥革命の意義を立體的にとらえるための必要不可欠な観點だと私は考えている」と述べた。
基調講演に続き、「孫文?梅屋莊吉の交誼及びその理想」、「孫文と梅屋莊吉の時代」、「清末民初の中日関係」などのテーマをめぐり、ディスカッションが行われた。
梅屋莊吉のひ孫に當たる小坂文乃さん
ディスカッションの中で、梅屋莊吉のひ孫に當たる小坂文乃さんは孫文と梅屋莊吉の交誼を紹介した。小坂文乃さんは次のように述べた。「孫文に関わった日本人は300人以上いるというふうに言われている。彼らがこの革命に関わった動機からみると、自由民権主義、國権主義、政界?財界の有力者という3つのグループに分けられる。それぞれの立場から革命に関わる動機も違っているが、革命運動本來の目標とは異なる動機で革命を利用していたとみられる。そういう意味から、孫文と真の意味での友人と言われる人はごくわずかだった。民間人の立場で物心両面から孫文の革命を支え続けた梅屋莊吉はその1人として挙げられている」。
孫文は政治活動をした30年のうちおよそ三分の一に當たる約10年間、日本に滯在していた。したがって何らかの形で孫文を援助した日本人は數多い。しかし、援助の規模(時価約2兆円といわれる)といい、何らの見返りも求めずひたすら革命の成就のみを願った志といい、梅屋莊吉の業績は際立っている。
なお、「孫文、宋慶齢と梅屋莊吉展」は、12日まで後海の宋慶齢故居で行われている。
(寫真はいずれも繆暁陽記者が撮影)
「北京週報日本語版」 2010年9月10日