12日発行の在日中國人向けの月刊情報誌「日本僑報」は、非政府組織(NGO)「察哈尓(チャハル)學會」の趙新利研究員の評論を掲載し、「留學生政策の後退は日本の衰退を示唆する」と指摘した。中國國営の通信社「中國新聞社」(電子版)が報じた。
評論の要旨は以下の通り。
韓國の中部に位置する忠清北道(チュンチョンプクト)で 6日と7日の二日間、第1回「中國人留學生祝典」が盛大に開催され、在韓中國人留學生とその両親、韓國の學生、それに一般市民ら3000人以上が多彩な交流イベントに參加した。また中國人民政治協商會議全國委員會外事委員會の副主任を務め、中國留學人才発展基金會副理事長の韓方明らの一行も出席した。同イベントに參加した私は、韓國が留學生事業にきめ細かく力を入れていることを至る所で感じると同時に、“後退”している日本の留學生政策との差を感じた。
同イベント開催中、中國人留學生らは中韓エンターテイメントイベントや料理コンテスト、伝統衣裝お披露目會、マッサージなどの無料體験に參加するなど手厚いもてなしを受けた。さらに、會場には韓國のスターも登場し大盛り上がりの夜となった。また同イベントには、韓國教育科學技術部長や國民議會副議長、忠清北道知事、道議長らが參加し、韓國外交通商部長も動畫で祝電をおくるなど、韓國側は同イベントを非常に重視。一國の留學生のためだけにこれほどまでに盛大なイベントが開催されるのは、世界的にも異例のことで、韓國が留學生事業に力を入れていることが浮き彫りとなった。
このように、韓國の中國人留學生が充実し、楽しい留學生活を送っているのに対し、お隣の日本の留學生の多くは不安な日々を過ごしている。日本政府の留學事業関連の予算が削減され、留學生の宿舎となっている留學生會館が閉鎖に追い込まれたり、留學生の學費減免限度額や奨學金枠も縮小されたりと、東日本大震災発生し放射能の恐怖におびえながらも日本に殘った留學生の生活環境は決して楽観視できない狀況になっているのだ。そのため日本の留學生政策は今後退しているとの聲さえある。
日本では民主黨が政権を握って以來、國防、外交、環境、科學、教育、スポーツなど各方面にわたる「予算削減」を斷行、削減されていない予算はないと言っていいほどだ。教育の分野では、國費奨學金、留學生學費減免、留學生宿舍などの分野の予算が大幅に削減された。例えば、毎年何千人もの留學生を受け入れていた、東京お臺場にある「東京國際交流センター」は、そこから見える風景の美しさや、最先端の設備を備えていることから、日本の留學生呼び込みの象徴のような存在となっていた。しかし、同センターも政府の予算削減の影響を受け、2012年の3月に留學生會館としての役割に終止符が打たれる見込みだ。
グローバル化が進む現在、各國は優秀な留學生呼び込みにさらに力を入れているのに対し、日本がこの面で後退していることは理解しがたいことだ。その背景には、留學生が卒業後、日本で就職することで日本人の就職難につながるなど、留學生の日本社會の資源占用を生むことになり、大量の外國人留學生の呼び込みは、日本社會の不安定要素となると考え、それを「亡國政策」と見る保守派の存在がある。その他に、日本経済の低迷、政局の混亂、政府の戦略的視野のなさなども挙げられる。しかし、日本政府は常に留學生呼び込みに及び腰だったというわけではなく、1983年に「10萬人留學生計畫」を、2008年には「30萬人留學生計畫」を掲げたこともある。しかし、日本は頻繁に政権交代するため、多くの政策が長続きせず、前政権が制定した政策を新しい政権が取り消すということも珍しくない。
今年3月に東日本大震災が起きたのに伴い、津波や福島第一原発事故が発生したことで、多くの留學生が帰國したり、4月1日の時點で、留學生を比較的多く受け入れている大學43校で、入學を予定していた外國人留學生のうち約1割に當たる600人が來日をキャンセルしたりした。このような天災は避けることのできないものだが、政策の変化による留學生事業の後退は、我々の目には日本の「衰退」としか映らない。日本の総理大臣の名前や寫真を間違える國際メディアも多く、新しい総理大臣が國際連合で初講演をしても、関心の薄さから退場してしまう各國代表者も多い。このような現狀の日本は今、國際交流や留學生事業を後退させるのではなく、強化すべき時ではないだろうか。
「人民網日本語版」2011年10月16日