日本の公営住宅とは、國と地方自治體が協力して安い家賃で低所得世帯向けに賃貸し、國民生活の安定の確保と社會福祉の促進のために提供されている住宅である。中央政府と地方自治體が出資して建設する公営住宅は、事実上中國の廉租房(低所得世帯向けに家賃補助や減免がある住宅)と大きな違いはない。
日本の公営住宅は200萬戸余りで住宅総數の4%余りを占める。専有面積は40~50平方メートルで多くが2DKであり、4人家族が住むには十分な広さだ。日本の公営住宅は主に1966年から2006年にかけて建てられ、40年間に8回の「住宅建設五箇年計畫」によって政府と民間の力を集結して建設された。2000年以降は住宅建設の民間委託がしだいに加速し、石原慎太郎氏が東京都知事に就任してからは、東京では新規建設ゼロが続いている。2000年以降、日本経済の不調から、公営住宅の建設は退潮期に入ったと言っていい。
公営住宅の入居者は低所得者で、世帯の平均月収が20萬円以下であること、お年寄りや障害者、知的障害者の介護が必要などの理由から家賃は低く、原則として入居者の収入から家賃算定基礎額を決め、それに立地係數、規模係數、経年係數、利便性係數を乗じて家賃が算定される。多くの場合、毎月の家賃は2萬円前後で、同じ立地、面積の民間の賃貸住宅の4分の1から5分の1の賃料である。
入居者は毎年収入報告書を提出し、それによって翌年の家賃が決定する。入居者が報告書を提出しなければ家賃は引き上げられ、近傍同種の住宅の家賃が適用される。2年連続で収入が基準を超えた場合、地方自治體は入居者に対して期限を定めて退去を命じることができ、期限を過ぎても退去しない場合には違約金を支払わねばならず、家賃も近傍同種の住宅よりも高くなる。また、障害者に対しては家賃の特別減免制度がある。
日本の公営住宅は、建物の質がよく、耐震性能も基準に達しており、各種の文化福利施設も備わっている。土地は地方自治體が購入しており、中央政府が2分の1を補助、殘りは自治體が資金を集めている。公営住宅の立地はそれぞれに大きな差はなく、交通、醫療機関、買い物、學校などすべては公営住宅建設時に考慮されている。住宅の供給に不公平が生じないよう、入居者募集はメディアや地區住民へのダイレクトメールなどを通して広く告知され、條件に合う者は誰でも申請することができるが、入居希望者は入居可能戸數の10倍以上になる。不平の出るのを防ぐため、抽選で入居者を決定しているが、當選確率は10/1という狹き門だ。
現在日本の公営住宅にはいくつかの問題點がある。入居者には高齢者が多く、入居者間の交流の維持が困難になっている。また、収入が基準を超えた場合、原則に基づいて退去しなければならないが、入居し続ける人もいるため、より必要としている人たちの入居の妨げとなっている。公営住宅は國民の稅金によって建てられ、維持管理費等は家賃により賄われているが、家賃収入が不足する場合には、やはり稅金から補填されるため、公営住宅を利用していない人々からは稅金の搾取であり、不公平であると感じられている。近年、公営住宅の家賃滯納が深刻な問題となっており、2007年の國土交通省の統計によれば、全國の公営住宅で、期限までに支払われていない家賃は664億1360萬円に達する。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年10月23日