「ゴーストタウン」
記者は放射能計測器を取り出した。計測器は「ピピピ」という音を鳴らし始め、數値は瞬く間に高くなっていった。1分もたたないうちに毎時1.0マイクロシーベルトを超えた。その後2.0マイクロシーベルトまで上昇した。この數値は東京の主要地域の10~20倍である。
小型トラックは幹線道路を北に向かう。対向車線では、警戒區域用の車両が次々と通り過ぎる。大型バスの運転手はみな厳重な防護服で身を包んでいる。どの交差點の信號機も、黃色信號が點滅している。減速の指示だ。しかし町から出ようとする車両はみな狂ったように飛ばしている。バックミラー越しに見ると、後方には車両が1臺も走っていない。松村の自動車だけが孤獨に走っている。
道路の両脇は畑が広がっている。大量の放射性物質を吸い込んだ雑草が、奔放に生え散らかっている。ほぼ1キロごとに、人気のないガソリンスタンドを見かける。かつてこの町がとても賑やかだったことを想像させる。松村が「市の中心部」と「商店街」の地域だと言った場所は、店舗が密集していた。「みんな避難していった」。誰もいない。ゴーストタウンという言葉は決して誇張ではない。
(続く)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2012年3月13日
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