情報を制する者が戦いに勝つ―孫子の教えは日本の経営者の間で根強い人気がある。「孫子兵法」の「用間(「間」とは間諜を指す。スパイの活用)篇」でも敵情偵察の重要性を説いており、日本企業における、その経営戦略への応用は世界でも類を見ないほどの水準になっている。経済関連情報の収集活動の熱心さにおいて名を馳せている日本。統計データによると、1,500件以上におよぶ海外の特許関連情報を得るために4億ドルを投じ、結果、74億ドルの利益を創出したという。日本の情報コンサルタントはかつて、「日本の國內総生産(GDP)の54%は収集した情報を活用した成果だ」と述べている。
戦後、日本では、経済関連情報の収集活動を行なうために、大手企業だけを見ても、世界187都市に800社の支社?子會社が設けられた。日本政府はこうした海外拠點と密接な関係を保ってきた。この情報ネットワークの頂點は通商産業省(現経済産業省)と言われている。現在、日本の経済関連情報のネットワークは全世界を網羅しているといってもよい。
「日本企業による情報収集、分析、市場開拓の強化はすでに、企業の運営および生産活動における重要な基礎となっている」と専門家は指摘する。戦後、日本経済が高成長を遂げたのは、企業の強大な調査?分析チームの活動や、世界中に網を広げる効率の高い情報ネットワークによるものが大きい。日本企業の海外拠點は1萬社近くにおよぶ。ほとんどが情報収集機能を持っており、毎日屆けられる情報量の多さは目を見張るほどだ。
日本の電子機器メーカは、ライバルである米國に焦點を合わせて情報収集活動を行なってきた。ソニーおよびパナソニックは米國市場に參入する前に、設計士やエンジニアなどで構成されたチームを現地に派遣し、調査を行なわせ、米國消費者が好む製品のデザインを研究させている。パナソニックは米國進出前に、情報収集のため、1951年には現地に拠點を設けている。