これまで、中國市場においての乳製品(とくに、牛乳を代表として、バター、チーズなど)は、品質は一般的だが安価な乳製品を展開する中國企業と、品質は良い(少なくとも消費者はそのように考えている)が高価な乳製品を展開する外國企業が、対立軸?マーケットのセグメントとして存在していました。
例えば中國內の一般から高級スーパーマーケット(カルフールなどから都市部の百貨店で輸入商品を扱うところまで、等。)においては、チーズのようなそもそも賞味期限が長いものだけでなく、乳製品のうち牛乳のような賞味期限の短い商品についても技術的に長期保存を可能にした「ロングライフ牛乳」がありますので、外國製「ロングライフ牛乳」が中國製牛乳とともに売り場に並んでいます。生産コストや輸入に関するコストの面で差異がありますので、スーパーマーケットでの中國製牛乳と外國製牛乳は価格差が歴然としていますが、それでも、ともにスーパーマーケットでの売り場面積が「売れ筋」を反映しているのだとすれば、決して外國製は稀有な超高級舶來品という扱いではなく、ちょっと贅沢だけど消費者の手が屆くような位置づけだとおもいます。100円と1000円のような差異ではなく、100円と300円くらいの差異です。安めの中國製と、安全性が高いけど少し高めの外國製があるような狀態でした。
この國內製品か、海外製品かという選択肢が、そのまま直接低価格か安全性が高いかという選択肢であったのが數年前までの狀況だったといえるでしょう。
僕が、ここで最近のトレンドとして興味深いとおもっているのは、先のメラミン事件後の取り組みから、安全性イメージを浸透させたい中國ブランドの中國製牛乳ブランドが「安さだけ」を売りにしなくなったことです。こうした中國國內ブランドから、高価格レンジの牛乳が登場してきており、「三元」「光明」「蒙乳」など多くの大手ブランドが市場セグメントを価格レンジで細分化して、安全性がより高い牛乳や、機能性牛乳を高価格レンジでだしてきているんですね。それらの価格は通常の価格レンジの商品(1リットル100円強)の數倍の値付けがされていたりします。つまり、國內製品も低価格のもあるし、安全性高く高価格のもありますよ、という狀態に変化したわけですね。ですから、ある意味、高級外國製品は今後高付加価値市場セグメントで直接國內製品とバッティングしますので、競爭力を失う可能性がでてきたともいえます。
日本の市場でも、機能性を高めて、高額の価格レンジにポジショニングする牛乳製品はよく目にしますが、中國市場では最近になってこの動きが活発化しているようです。