安倍晉三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談會」(略稱は安保法制懇)は15日午後、安倍首相に集団的自衛権の解禁を提案する報告書を提出した。同報告書が示したロードマップに基づき、安倍首相は同日夕方、憲法解釈見直し、集団的自衛権の解禁は、政府の「基本方針」であると表明した。
同報告書と安倍政権の「基本方針」が示したロードマップに基づき、集団的自衛権の解禁を進める上で、自衛隊は今後、組織的な性質、法的地位、活動範囲、遂行する任務のすべてが、「普通の軍隊」と変わらなくなる。これにより、侵略戦爭を反省し自らを縛り付けた「戦爭放棄」、「専守防衛」、「必要最小限の武器保有」といった戦後日本の平和的理念の基盤が丸ごと失われることになる。日本の長期的な「平和國」としてのイメージに、180度の変化が訪れようとしている。
安倍首相は正常な改憲の手続きを回避し、主流の民意と立法府(國會)を無視し、內閣だけで集団的自衛権を解禁しようとしているが、これには三つの目的がある。まず自衛隊の海外での武力行使の束縛を解除することで、「積極的な平和主義」を名義とする軍事?政治大國の夢の障害物を取り払う。次に平和憲法を葬り去ることで、憲法の平和精神を示す9條を形骸化し、「戦後體制」から脫卻するという政治的な野心を実現する。それから自衛隊の実力と軍事力の配備を強化し、日本の日米軍事同盟における比重を高め、隣國に対抗する軍事的な駒を増やす。
この「基本方針」の危険な內容は一目瞭然だ。同報告書は「集団的自衛権行使の6條件」を羅列した。その一つ目の條件は、「日本と密接な関係にある國が攻撃を受けた場合」だ。これは定義が曖昧で、その範囲は「同盟國」のみに限られない。これはつまり、日本の集団的自衛権の行使の対象には、日米同盟、フィリピン、ベトナムなどの「密接な関係にある國」のみならず、インドやオーストラリアなど米國の同盟國も含まれることを意味するのではないか。分かりやすく言えば、日本は口実を見つければ、集団リンチに參加できるというわけだ。
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近代史の中で、日本軍がさまざまな口実により、係爭を人為的に拡大し、これをこしらえたことが明らかになっており、人々は懸念する理由を持っている。ナショナリズムと歴史修正主義が色濃い現政権に導かれ、日本が古い道を歩み、再び戦爭を起こすことはあるだろうか?
この安倍首相の意向を受けた報告書は、地域の緊張と隣國の脅威を誇張し、中日の島の係爭を巡りさまざまな「グレーゾーンの事態」と対応策を想定?制定し、沖縄などで日米の軍事力配備の強化の口実にしている。「グレーゾーンの事態」によると、海上自衛隊は外國公船を取り締まる権限を與えられる可能性がある。これは機に乗じて、事態を自らエスカレートさせる準備だ。オバマ大統領は訪日中に、日本を大目に見る間違った合図を出した。安倍首相がアクセル全開で「暴走」する可能性が高まっている。
國際世論は、日本は敗戦後に極東軍事裁判の結果を受け入れ、武裝解除したことにより、國際社會への復帰が認められたと考えている。日本が自衛隊の力を拡大すれば、これまでよりもより明確に歴史を反省し、アジア隣國の懸念を払拭する必要がある。しかし安倍政権のやり方は真逆で、歴史認識で逆行しながら集団的自衛権を解禁しようとしている。これでは周辺諸國に、日本に対する警戒を強めさせるだけだ。
米國の「親日派」の代表格、ハーバード大學教授のジョセフ?ナイ氏も、日本メディアの取材に応じた際に、安倍政権が「ナショナリズム」により軍事政策を飾り立てることに反対した。しかし同氏は、安倍首相の「野心」を過小評価した可能性がある。ナショナリズムにより軍事政策を飾り立てることより警戒すべきは、安倍首相の一連の軍事?安保政策が、そもそも戦前のナショナリズムのやり方にならったものであることだ。
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「中國網日本語版(チャイナネット)」2014年5月18日