『新疆物語―絵本でめぐるシルクロード―』
日本図書館協(xié)會選定図書、日本僑報社の話題の新刊『新疆物語―絵本でめぐるシルクロード―』(王麒誠著、本田朋子訳)に対してこのほど、創(chuàng)価學(xué)會參議で北京大學(xué)日本研究センター客員研究員の三津木俊幸氏より「読後感」が寄せられた。
同書は、知られざる新疆の魅力を、楽しいイラストとわかりやすい解説で紹介した、中國ベストセラーの初日本語版。
三津木氏は、自身も仕事で數(shù)回訪問しているという新疆の魅力――悠久の歴史や雄大な自然、新疆を舞臺に詠まれた中國盛唐期の詩人?王維の詩などに觸れつつ、本書について「著名な中國の漫畫家王麒誠氏がイラストエツセイでわかりやすく紹介している。新疆を訪問した人には、懐かしい思い出であり、これから訪問する人には、夢とロマンを彷彿させる內(nèi)容であり、大いに旅行計畫の手引きとなるものである」と紹介している。
その上で、「中國の中でも、新疆を訪問される方はまだ少ないようだが、この書は中國ではベストセラーであると聞く。その意味で、中國の人にとっても、世界の人にとっても、新疆に觸れる良い機會であり、新疆が理解されるためにも充分価値のある書であろう」と高く評価し、推薦している。
三津木氏による『新疆物語』読後感は次の通りである。
イギリスの著名な歴史學(xué)者のアーノルド?トインビー氏は、創(chuàng)価學(xué)會の池田會長(當(dāng)時)との対談集(21世紀(jì)への対話)の中で、池田會長の「もし、トインビーさんが生まれ変わることが出來るとすれば、世界のどこの國に生まれてきたいと思いますか」という質(zhì)問に対し、即座に「中國の新疆地方です」と答えられている。
中國?北京大學(xué)の元副學(xué)長?季羨林(哲學(xué)者)は本著の中で、「シルクロードは悠久の歴史があり、範(fàn)囲が広く自らが體系をなし影響が奧深い文化體系は世界には4つしかない。それは、中國、インド、ギリシャ、イスラムで、この4つの文化體系が合流する場所はただ一つ。それが中國の新疆地區(qū)である」と紹介されている。
私も仕事を通じ、新疆を數(shù)回訪問しているが、中國の6分の1を占め、広大な面積を持つ地域の一部しか経験できていない。本書では、著名な中國の漫畫家王麒誠氏がイラストエツセイでわかりやすく新疆を紹介している。新疆を訪問した人には、懐かしい思い出であり、これから訪問する人には、夢とロマンを彷彿させる內(nèi)容であり、大いに旅行計畫の手引きとなるものである。
今日の新疆になるまでには、さまざまな戦亂を経て1949年、9月25日に平和的に解放され、王震將軍(後の中日友好協(xié)會名譽會長)が進(jìn)駐。1955年10月1日に新疆ウイグル自治區(qū)が成立し、新疆の歴史的発展の幕が開かれた。この間の主な民族の盛衰をやさしく漫畫で解説し、新疆を理解しやすいようになっている。
新疆には風(fēng)光明媚な自然、ハミ瓜、ぶどう、シシカバブ、シルクロードの遺跡、移民族の交流にあふれた內(nèi)容がある。孫悟空でもおなじみの「火焰山」の地表溫度70度以上でゆで卵ができる暑さ、盡きることの無い「塩湖」ホータンの玉、北新疆の「カナス湖」の神秘。アルタイ山脈、天山山脈、崑崙山脈等の見下ろす狹間には、厳然と歴史が刻まれている。
唐代にトルファン地域の安西に都を守る塞が築かれた。王維はその詩「送元二使安西」で、西域の護(hù)りに赴任する友人の元二を送別して「西出陽関無故人」と詠んでいる。陽関から先に広がる茫々たるゴビ砂漠を歩いて赴任する友人を送る惜別の情に心打たれる。
中國の中でも、新疆を訪問される方はまだ少ないようだが、この書は中國ではベストセラーであると聞く。その意味で、中國の人にとっても、世界の人にとっても、新疆に觸れる良い機會であり、新疆が理解されるためにも充分価値のある書であろう。
(以上は、三津木氏による読後感を一部編集したものです)
『北京週報日本語版』2015年8月18日