少子高齢化に伴い、都會から離れた日本の多くの地方は人口が減少し、財政破綻の危機に瀕している。日本政府はこれに対して様々な措置を取り、若者の「田園回帰」を促し、「地方消滅」の傾向に歯止めをかけようとしている。學者は、集約型都市の建設を一方的に進めることは田舎からの人口流出を激化するだけだと注意を呼びかけている。日本の地方の発展にチャンスをもたらすには一體いかなる新たなモデルがあるのだろうか。
「ふるさと納稅」で都市と農村の格差を縮小
66歳の竹中貢町長は、ピンク色の熱気球の図柄の入った黒いTシャツを著て、少し照れくさそうに記者に聞いた。「似合うかな」。記者が似合うとほめると、町長は、東京と大阪に「ふるさと納稅」を売り込みに行くためにデザインしてもらった服なのだと説明してくれた。
竹中貢氏は、北海道中部に位置する上士幌町の町長だ。700平方キロメートルの町內には5080人の住民が暮らし、農業と牧畜、観光業が主要な財源となっている。
少子高齢化に伴い、日本では、都會から離れた地方の人口が減り、財政収入も減少しており、一部の地方は財政破綻の危機に瀕している。都市と農村の格差を減らすため、日本政府は2008年、「ふるさと納稅」という制度を打ち出し、大都市で働く住民が地方政府に対して自発的に寄付をすることを奨勵し始めた。「ふるさと納稅」を納める先は、自分の出身地に限られているわけではない。
「ふるさと納稅」の寄付者は寄付後、寄付を受けた地方自治體の発行した寄付証明書を受け取る。寄付者はこの証明書を持って、居住地の自治體の稅務部門で住民稅の控除を受けるか、給與から源泉徴収されている個人所得稅の還付を受けることができる。寄付者は、2000円を自己負擔するほかは、寄付金の殘りすべてを控除対象とすることができる。寄付者は寄付の使用目的を指定することもできるし、寄付を受けた地方が自ら使い方を決めることもできる。寄付を受けた地方は、寄付金の額に応じて、寄付者に現地の特産品を贈呈するなどの奨勵策を取っている。
「ふるさと納稅」は実質上、納稅者が選べる財政移転制度であると同時に、地方が競爭を通じて資源を獲得することを奨勵する政策でもある。日本総務省の統計によると、同制度の実施から7年で、延べ108萬人が地方に1126億円を寄付した。
竹中町長によると、上士幌町の2014年の財政収入は、町稅収入が6億2千萬円で、その他の収入が5億8千萬円となっている。政府から自治體への財政移転も27億円あるが、支出は61億3千萬円にのぼり、財政狀況は非常に厳しい。だが「ふるさと納稅」制度を利用して、観光と特産品の売り込みを行い、2014年は9億7400萬円の寄付を集めた?,F地の主要財源である町稅の1.5倍を超える額である。