筆者はインドネシアをリサーチのため訪れ、現地の研究機関?企業?民間人と交流した。インドネシアは「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の重要な拠點だ。インドネシアも中國の提案を重視しており、中國との協力に期待を寄せている。しかしインドネシアの関係者は、「一帯一路の沿線において、日本は中國の最も重要なライバルになる」と率直に語った。
インドネシアは一帯一路という提案が、いかに自國の発展戦略と結びつくかに最も注目している。インドネシア科學院の學者によると、ジョコ大統領はインドネシアを「世界の海洋の軸」にすると表明しているが、これは中國の「21世紀海上シルクロード」と期せずして一致している。インドネシアにとって最大の當面の急務は、國內の「相互接続」の実現、特に海上輸送と鉄道で構成される物流網の構築、およびエネルギー供給能力の向上だ。インドネシアの交通インフラとエネルギーの不備は、國際競爭力の向上を妨げる大きな壁となっている。インドネシアは、中國のより具體的な協力案を聞きたがっている。インドネシアのビジネス界の関係者は、中國が受注したジャカルタ?バンドン間の高速鉄道を頻繁に取り上げ、同プロジェクトが一帯一路の海外進出の「主力製品」、両國の協力の「模範プロジェクト」になることに期待した。
長期的な戦略により、日本はインドネシアで経済?政治の強い影響力を持つ。道路上をを走る日本製の自動車とバイクが最も印象的だった。日本企業はインドネシアにおいて、ハイエンド製造業、特に電子機器で圧倒的な優位を占めている。インドネシアは日本のODA最大受け取り國だ。インドネシア人は、日本に対して「非常に前向きな」評価をしていると口にする。インドネシア科學院の日本問題専門家によると、日本企業はインドネシア現地の日本の外交?ビジネス機関と協力し、的を絞った投資活動を展開し、現地に根ざし現地に利益を還元することを重視している。また日本のビジネス面の信頼とブランドは、長年の試練を乗り越えている。あるインドネシア人は、「他國の製品とプロジェクトはブランド面で、少なくとも5-10年內は日本の敵ではない。インドネシアなどのASEAN諸國において、日本のソフトパワーの蓄積が過小評価されているかもしれない」と話した。
「米國の影響よりも、日本の現地における地政學的な影響力は、中國が一帯一路を推進する際に考慮すべきことだ」という現地の學者の言葉が印象的だった。別の學者は、中日の戦略を巡る駆け引きで選択を強いられるよりも、インドネシアは中日が一帯一路の沿線市場を共同開発することに期待していると話した。これは中日の技術と商品構造に獨自色があり、海外の目標となる市場にも差があるからだ。(筆者:中國社會科學院日本研究所研究員補佐)
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月25日