東京電力(以下、東電)は2月24日、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって生じた放射能漏れ事故において、核燃料が溶け落ちる爐心溶融(メルトダウン)の重大性を過小評価していたことを認めた。東電はこれまで、當時メルトダウンは生じなかったと主張していた。事故発生からはや5年弱が経過するが、復興が遅々として進まない。原発事故を巡る論爭が止まず、恐ろしい事故の「後遺癥」が殘されている。
東電は2月15日、廃爐問題に関する検討會で、福島第一原子力発電所の汚染水の問題を解決するため、「凍土遮水壁」を構築すると表明した。凍結から施工終了までの工期は8ヶ月。凍結をいつ開始するかはまだ決定されておらず、政府と東電の「2015年度內の凍結完了」という目標はすでに実現不可能になっている。福島第一原発の1?3號機は、処理が必要な放射能汚染水を毎日300トン放出している。
原発事故の調査も苦境に陥っている。汚染エリアでは除染後も放射線量が下がっていないことから、東電のロボットを使用した2號機建屋の調査が棚上げになっている。ロボットが入る際に、建屋內の放射線量は約100ミリシーベルト毎時まで下がらなければならない。東電が除染を繰り返しているが、放射線量は依然として500?8300ミリシーベルト毎時という極端な數値を維持している。
原発事故により汚染された土地の8割以上の除染が終わっているが、除染土壌を捨てる場所がない。環境副大臣はこのほど、政府は福島県內の除染土壌を保管する16平方キロメートルの土地購入を計畫していたが、土地所有者の多くがこれを懸念したため、実際に確保できた土地は計畫の1%にも満たないと発表した。
記者はこのほど、原発事故の被災地を再訪した。除染土壌を詰めた黒いビニール袋が、村のあちこちで見られた。村民全員が退去している村では避難指示が解除されているが、福島県産の農産物のイメージ悪化により、農業生産の回復は先行き不透明だ。
國立環境研究所が先ほど発表した報告書によると、原発事故後、原発から南の海岸に生息する無脊椎動物の種類と數が大幅に減少した。また変異により「身長」が伸びないアカマツが目立っている。福島県の約9萬9000人が、現在も避難生活を強いられている。
菅直人元首相はワシントンのナショナルプレスクラブで講演した際に、福島第一原発の「放射性物質が地下水を通じて海に流れていることは間違いない」「原発事故は今も続いている」と述べた。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2016年2月29日