新型コロナウイルス感染拡大の影響で、國際経済貿易の狀況が深刻化する中の昨年11月15日、アジアと豪州など15カ國が8年にわたる困難な交渉を経て、最終的に地域的な包括的経済連攜(RCEP)の合意?調印にこぎ著けた。続く同月20日、ビデオ形式で行われたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳會議で、中國は「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的協定(CPTPP)への參加を前向きに検討する」との姿勢を表明した。
筆者は長年、中日経済を研究してきた。ここ數年、日本のメディアは、米國離脫前の環太平洋パートナーシップ(TPP)協定あるいは米國離脫後のCPTPP(TPP11)により中國をけん制すると強調してきた。RCEPでも日本メディアは、インドが交渉に加わり、中國をけん制する重要な勢力となることを一層期待していた。
中日両國の自由貿易體制における出発點は異なるが、共に製造?貿易大國として多國間貿易體制を守る上で、共通の理念とそれぞれの巨大な利益を有している。両國は自由貿易體制の構築において、イデオロギーの対峙を止め、共通の意識を持ち、力を合わせてアジア太平洋運命共同體を建設しなければならない。
RCEP方式で中日FTAを
中日韓3國の中で、中韓はすでに2015年6月に自由貿易協定(FTA)に調印している。だが中日、日韓は、FTA問題を長年協議してきているが、まだ決著は付いていない。RCEPは、日本をその最大の貿易相手國である中國、同第3位の韓國との初のFTA相互協定調印に導いた。ここから見て、RCEPは中日韓について言えば、FTA體制確立と擁護において最終的に足並みをそろえたことを意味し、その意義は大きい。
中國について言えば、中國は05年に東南アジア諸國連合(ASEAN)との間でFTAに調印し、RCEPのオーストラリア、ニュージーランドとも早い段階で相互協定に調印しており、日本とだけが最終的な合意を見ていない。日本のメディアは、TPPの成立意義について解説する際、多くが中國けん制を強調した。またASEANと中日韓の他に、インドやオーストラリア、ニュージーランド、特にインドの加盟によって、RCEPで中國をけん制する役割を発揮すると日本は強調していた。
米國は過去、トランプ大統領が政権樹立直後にTPP交渉からの離脫を宣言し、インドも19年11月にRCEP交渉から離脫を宣言した。日本のメディアが解説によく使う「中國けん制」は思うように実現していない。
中國の一部の學者は次のように認識している。インドが交渉から離脫したので、日本は昨年11月のRCEP協定調印を拒絶する可能性があったが、トランプ政権が退陣し、次のバイデン政権が國際経済貿易提攜で前政権と異なる姿勢を示しているのに伴い、もしかしたら日本は新たな判斷をせざるを得ないかもしれない。
一方、新型コロナによる影響で歐米経済は大幅に下落し、日本の対歐米輸出は大きなダメージを受けたが、対中貿易は維持できた。インド以外のアジア、特に東アジアは、歐米に比べて感染狀況を効果的にコントロールしているため、世界経済をけん引する機関車としての役割はまだ衰えていない。日本も歐米ほど経済の大きな下落を避けるために、アジア主要國との貿易を維持しなければならない。
宙ぶらりんの中日FTAもまさにこうした歴史的な條件の下で、まずRCEPに調印する方法で実現できたといえるだろう。