文=清水友香 産業翻訳者
皆様の「思い出の街」はどこですか? 旅行で訪れた、留學生活を送った、長く駐在していたなど、それぞれに思い入れのある外國の街があるのではないでしょうか。私にとっては、北京がその一つです。
2013年から2014年にかけて、1年半ほど北京に滯在していました。その間、獨立行政法人國際交流基金?北京日本文化センターで、図書館の受付を擔當していたことがあります(殘念ながら、図書館は2019年1月末に閉館)。事務所に併設された半フロアのスペースでしたが、外部に開放しており、日本と関わりのあるビジネスパーソン、旅行プランを練りに來る若者、留學を目指す學生たちなどが來館していました。
常連さんとは次第に仲良くなるもので、頭脳明晰で気っ風のいい北京っ子?宋さんもその一人。彼女の北京語を聞き取るのは私には難しかったけれど、よく駅のホームで待ち合わせをして、老北京を歩き回りました。天壇公園の見どころはこっちよと、トランプや將棋に興じるおじさんたちを見學したことも。
博物館內で購入した花瓶
その中から、今回は「中國景泰藍蕓術博物館」をご紹介したいと思います。ひっそりと地味に佇む博物館ですので知名度は低いかもしれませんが、なかなか見応えがありますよ。
さて、「景泰藍」(けいたいらん)とは、明代?景泰帝の時代(1450年~1457年)に最盛期を迎えたとされる「七寶焼き」のこと。銅の本體に細い線狀の金屬を貼って模様を作り、ガラス質の色釉を焼きつける「有線七寶」と呼ばれる種類です。デザイン、素地成形、植線(金屬線で模様の輪郭を作る)、施釉、乾燥、焼成、研磨、鍍金(めっき)など多くの工程を経て完成します。
館內では制作過程を紹介する映像が流れていますので、まず映像コーナーを探して理解を深めてから展示室に向かうのがおすすめです。展示室では過去から現代までの精巧な作品が並んでおり、職人さんたちの制作現場を見學することもできます。また、體験教室もあるようですので、タイミングが合えば參加してみてはいかがでしょうか。入場料は無料です。
寫真はCFPより
中國景泰藍蕓術博物館
北京市東城區安楽林路10號
「中國網日本語版(チャイナネット)」2022年9月14日