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lbxysyl.com |23. 07. 2024

手塚治蟲の助手黒川慶次郎、中國の若き創(chuàng)作者にエール

タグ: 手塚治蟲
人民中國  |  2024-07-23

葛偉=文?寫真提供

JR高田馬場駅早稲田口から高架下まで『鉄腕アトム』の壁畫が続いている。さらに同駅の発車メロディーもまた『鉄腕アトム』のテーマ曲だ。この駅が日本漫畫界の巨匠手治蟲ゆかりの地であることがうかがえる。それもそのはず、手は1968年に高田馬場で株式會社手プロダクションを設(shè)立し、氏の漫畫もこの地の顔となっている。 

実は筆者は高田馬場に、育英學堂という日本の大學を受験する中國人高校生向けの塾を構(gòu)えているのだが、その塾の賃貸人が手治蟲の助手だった黒川慶次郎さん(81)だ。黒川さんは日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』の制作に參加した、日本テレビアニメ業(yè)界の先駆者の一人であり、後に『W3』『リボンの騎士』『巨人の星』『ムーミン』、劇場映畫『ルパン三世』などのプロデューサーを務(wù)めた、有名なアニメプロデューサー兼作家でもある。黒川さんのオフィスはうちの塾の上だ。そのようなアニメ業(yè)界の大先輩が近所に住んでいるものだから、何かにつけていつもお邪魔させてもらっている。黒川さんはとても気さくな方で、われわれの取材も快く受けてくれた。 

葛偉 黒川さんがアニメ業(yè)界に入ったきっかけはなんでしょうか? 

黒川慶次郎 私が若い頃、日本は戦後でした。當時テレビが出てきたばかりで、テレビ番組という概念はなく、アニメ業(yè)界もありませんでした。その頃、映畫とテレビの発展を見て、自分もその仕事をしたいと思いました。ちょうどそのとき、手塚治蟲さんがアニメ制作會社を立ち上げることを聞き、履歴書を出したら、手塚さんの助手として採用されました。 

テレビアニメの制作なんか當時誰も分からなくて、全ての仕事は手探りでしなければならなかったです。テレビで放送される30分1話の動畫を作るのに、300~400人の共同作業(yè)が必要です。原畫や腳本や音楽など、一人で 

はこなせない仕事量です。それが仕事の細分化と結(jié)び付いて、徐々に専門的な人材を作り上げていきました。私たちも模索しながらようやく一つの作品を仕上げたのです。私が最初にやった仕事は、先輩の作品に線をなぞることでした。同期の多くは、現(xiàn)在この業(yè)界の先輩として活躍しています。

(筆者注:黒川さんの同期は富野由悠季氏、浦上靖夫氏、平田敏夫氏、林重行氏、北野英明氏、明田川進氏ら全員日本アニメ業(yè)界の大御所) 

 手塚治蟲氏は日本アニメの創(chuàng)始者ですが、手塚氏の助手だった黒川さんにとって氏はどんな方でしたか。 

黒川 手塚さんを一言で表すと、「大きな巨人」です。一般的に漫畫家は自身の代表作を持っています。例えば、鳥山明さんなら『ドラゴンボール』、高橋陽一さんなら『キャプテン翼』を連想します。でも、手塚さんの場合、どの作品が代表作なのか言えないです。手塚さんは生涯に700作品を生み出し、約15萬枚の絵を描いています。作品も各種テーマに及び、アイデアが無限に湧いていたようでした。 

手塚さんは醫(yī)學部出身で、大阪帝國大學附屬醫(yī)學専門部を卒業(yè)しています。若いとき戦爭を経験しましたので、人の死をよく目にしました。そのため、手塚さんの多くの作品には哲學的な考えが含まれています。最も代表的な作品は『火の鳥』でしょう。この作品は未完成ですが、手塚さんの考えを集大成した作品と言えます。 

私たちから見れば、手塚さんは漫畫家にならなくても醫(yī)者として衣食住に困らなかったでしょうが、當時は先が見えないマンガ?アニメの道を選んでいます。でも、手塚さんは自分の考えをマンガの形で表現(xiàn)したかったのでしょう。ですから、「大きな巨人」としか言い表せないと思います。 

 黒川さんが手掛けた作品の中で、一番満足しているのはなんですか? 

黒川 ほとんどの作品に満足していますが、もちろん好きの度合いは違います。一番好きな作品は、『ムーミン』です。北歐の児童文學作家トーベ?ヤンソンの絵本を原作にし、作風も非常に斬新な作品です。また、日本のマンガ?アニメ史上、海外の児童文學を原作とした初のアニメ作品でもあります。 

 黒川さんはかつて上海大學と浙江大學の教壇に立ったことがありますが、中國に対する印象はどうですか? 

黒川 私が中國の大學で講師として働いていたのは1996~2003年までで、中國の學生はとても優(yōu)秀ですが將來何をしたいのかよく分からない印象を受けました。先輩たちはどんな仕事をしているのかと聞いたら、映畫會社に就職して、映畫のポスターに色を塗る仕事をしていると教えてくれました。でも、マンガ?アニメは基本的にみんな好きでした。 

中國は將來的にマンガ?アニメ産業(yè)の巨大なマーケットになると感じました。その頃はまだできていなかったので、私たちがそのマーケットを作ろうと思いました。2000年以降は中國に長期的に滯在して、中國の各地へ行ったり、中國と日本の共同制作のアニメ映畫を作ったりして、2009年には上海で講演もしました。 

 今どんな仕事に攜わっていますか。 

黒川 ここ數(shù)年、コロナウイルスの影響で海外に行く機會が減りました。今は主に池沢早人師さんの『サーキットの狼』の著作権を管理しています。また、昔の仲間と漫畫塾をやっています。主にマンガとその制作の流れに興味を持つ中國や東南アジアのネットユーザーに向けて、日本のマンガ制作の流れとエピソードをオンラインで説明します。今第1回を制作中で、中國語版も同時にBilibili(中國の動畫プラットフォーム)に投稿されます。 

 日本のマンガ?アニメ業(yè)界では、多くの若者が低収入の底辺労働者で、有名作家になる人は非常に少ないです。それを見て、この業(yè)界で働きたいと思っている多くの若者がしり込みしています。この狀況についてどう思いますか? 

黒川 この業(yè)界の先駆者として、このことはもちろん知っています。確かに現(xiàn)狀はその通りです。この問題にはさまざまな原因がありますが、一つの主な原因は、アニメ番組制作における重要なクライアントはテレビ局で、テレビ局がプロジェクトを立ち上げてからアニメ制作會社に企畫?制作を依頼するという構(gòu)図があるからです。しかし近年、テレビの視聴率が年々低下しており、テレビを見る人が少なくなり、人々の趣味も多様化した結(jié)果、テレビ局もアニメ制作にあまり資金を出さなくなってしまい、アニメ制作會社も人件費を削るため、一部のコンテンツを中國のアニメ制作會社に委託するなどしかなくなっています。そのため、現(xiàn)在のマンガ?アニメ産業(yè)は若者には厳しいです。 

ところで、趣味の多様化によって、テレビを見る人は減りましたが、お金を払って動畫サイトでアニメを見る人は増えています。中國にはBilibiliやWeTVなど、海外にはNetflix(ネットフリックス)やDisney+(ディズニープラス)などのプラットフォームがあります。昨年Netflixが制作した浦沢直樹さんの『PLUTO プルートゥ』の原作は、実は手塚さんの『鉄腕アトム』にある『地上最大のロボット』なんです。その內(nèi)容は非常に奧深く、手塚さんらしさが出ています。これからこのような動畫プラットフォームが臺頭するとともに、作品にお金を出してもいいという人が集まり、より多くの優(yōu)れた作品が作られると思います。 

マンガ?アニメが好きで、アニメ監(jiān)督を目指している中國の學生に何かアドバイスはありますか。 

黒川 手塚さんが以前おっしゃっていたことですが、アニメ監(jiān)督になるための一番良い習慣は、良い映畫をたくさん見て、良い音楽をたくさん聞いて、良い絵をたくさん鑑賞することです。つまり、自分のものを作り出すには、數(shù)多くのコンテンツをインプットしなければなりません。それらの優(yōu)れた作品は、シーンに対する記憶を豊かにしてくれますので、創(chuàng)作時にそれらの記憶が自然に湧いてきます。 

もちろん、優(yōu)秀なアニメ監(jiān)督はそう簡単になれるものではなく、10年に1人いれば良い方です。 

 優(yōu)秀なアニメ監(jiān)督といえば、近年、新海誠監(jiān)督の作品、例えば『君の名は』『天気の子』『すずめの戸締まり』などは人気が非常に高いです。昔のアニメ監(jiān)督の作品と比べると、これらの作品の表現(xiàn)內(nèi)容は少し異なっていると感じますが、黒川さんから見て、ここ數(shù)年人気のある作品は以前の作品とどういうところが違うと思いますか。 

黒川 新海誠監(jiān)督の作品はリアリティーを非常に重視していますので、その映像は風景映畫のようにきれいで、リアルです。動畫にならなくても、きっと美しい作品に違いないです。でも、戦爭を経験した先駆者たちの作品と比べて、人間の死生観、戦爭への反省といった哲學的な部分の表現(xiàn)にはあまり関心がなく、映像の美しさと個人的な感情の表現(xiàn)を重視していると思います。それは時代が変わり、現(xiàn)在の観客がこのような映畫を好むようになったからでしょう。 

(筆者注 新海誠監(jiān)督の作品の他に、近年、日本の有名なアニメ映畫は、『名探偵コナン』『ドラゴンボール』『鬼滅の刃』などがあり、いずれも100億円以上の興行収入を記録し、最近の劇場版『機動戦士ガンダムSEED』も興行収入40億円を突破している。これらの作品は深い哲學的な問いを求めず、映像美と音楽の伝達力に焦點を當てているかもしれない) 

 黒川さんの著書『ディオニソスの子供たち』(三浦麗名義)を拝読しましたが、日本の元レーシングドライバー高橋國光氏をモチーフにした物語だと思いました。 

黒川 そうです。高橋さんは日本のレース界の伝説的な人物で、世界的にも有名なバイクレーサーです。日本國內(nèi)で四輪レースに転向してからも、好成績を殘しました。本田宗一郎さんに頼まれて、ホンダチームに移籍し、1970年代以降は日産で活躍し、ずっとポルシェチームと競い合ってきました。日本では大変伝説的なレーサーです。 

その本は高橋さんの前半生をベースに書いたものです。時間があれば後半生についても書きたいと思っていましたが、殘念ながら、高橋さんは2022年に他界しましたので、書いても本人が読むことはできません。 

 今後また中國に來ますか? 

黒川 もちろんです。中國に対してとてもいい印象を持っています。常々思っていることですが、國と國との間には政治と経済的な紛爭があるかもしれませんが、一時的に関係が悪くなることは當たり前です。でも、文化には國境がありません。マンガ?アニメは日本から生まれたものですが、一國だけの文化と見なしてはいけません。手塚さんは、中國の萬籟鳴氏の『鉄扇姫』というアニメも參考にしていました。手塚さんは10代の頃にそのアニメを見たときから、ずっと感銘を受けていたのです。そして、いつか日本もこんな素晴らしいアニメを作れたらと思い、マンガ?アニメ制作の道に進んだのです。手塚さんは萬籟鳴氏を自分の精神的な恩師としていました。ですから、それぞれの長所を吸収し、絶えず改良し、人々に好まれる內(nèi)容を作ってこそ文化だと言えます。中國には巨大なマーケットがあり、もちろん獨自の好みと文化もありますから、獨自のマンガ?アニメを制作してほしいと強く望んでいます。體調(diào)の許す限り、機會があれば、ぜひ中國に行きたいです。 

「人民中國インターネット版」2024年7月23日