「中國?WTO新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)共同調査報告書」(以下「報告書」)が29日、正式に発表された。報告書、それから環球時報の取材に応じた専門家も、新型コロナウイルスの確かな感染源を示す十分な証拠がなく、証拠がないままウイルスが國內と海外のいずれで発生したかを論じるのは時期尚早であるとした。
報告書によると、新型コロナウイルスは新たに生じた病原體であり、現在の知識では「ウイルスの動物の感染源及び天然宿主」「初期段階の動物から人への感染プロセス」「早期の曝露歴が不明な患者」といった感染源への理解が限定的だ。動物由來のウイルスであり、武漢市で見つかった早期患者が動物から感染したことがすでに知られているが、2月25日の時點では動物の感染源が明らかになっていない。新型コロナウイルスとコウモリ由來のSARS様コロナウイルス「RaTG13」は、遺伝子の相同性が96%と最も近い。「コウモリは同ウイルスの宿主と思われるが、中間宿主については明らかになっていない」
感染癥との戦いが重要な段階を迎えるなか、各國の科學者はなぜ関連性が低いと思われる「新型コロナウイルスの感染源」に執著するのだろうか。北京大學醫學部公衆衛生學院副院長の王培玉教授は1日、環球時報の取材に応じた際に「ウイルスの感染源の特定は感染予防?治療の軸だ。感染源を明らかにすることで、ウイルスの初期の感染ルート、突然変異の法則、潛在的なリスクを明らかにし、ウイルスの感染源からの感染予防?抑制に重要な科學的根拠を提供することが目的だ。學術界の研究により現在、センザンコウが新型コロナウイルスの潛在的な中間宿主であると証明されているが、數の少ないセンザンコウがこれほど大規模な感染を引き起こしうるだろうか。またウイルスがいかに動物から人類に至ったか、感染癥がいかに人類社會で蔓延したかについては未知數だ。報告書は特に、新型コロナウイルスの動物の感染源が不明であることから、すでに感染癥が発生している地域でウイルス再発の危険性を考慮しなければならないと注意を促した」と述べた。
各國の一部の感染者には、中國への渡航歴や濃厚接觸歴がないが、新型コロナウイルスが各地で個別に感染している可能性はあるだろうか。武漢大學醫學部ウイルス學研究所の楊占秋教授は記者に、「感染癥の大流行の基本的な要求に基づくと、今回の新型肺炎の大規模流行が最も早く生じたのは中國の武漢であり、患者の體內から初めて新型コロナウイルスが検出されたのも武漢であるため、武漢が今回の流行の発祥地だ。しかしこれは新型コロナウイルスの感染源が必ず武漢にあることを意味しない。新型コロナウイルスは同じ時期に複數の発祥地を持つ可能性があり、さまざまな動物?集団?地域に由來している可能性がある」と話した。
報告書は、「2019年12月末から2020年2月中旬にかけて各地で採取された患者の検體から分離された104株の新型コロナウイルス株の全ゲノムシーケンシングを行った結果、相同性が99.9%にのぼり、遺伝子の明確な突然変異がなかった」とした。楊氏は「ウイルス発祥地の特定にはさらなる研究が必要だ。中國は疫學リサーチ活動、例えば最も早い患者間の関係の調査などを重視すべきだ。彼らの関係がどうであったか、彼らに海外渡航歴もしくは他人?動物との接觸歴があるかといった非常に細かい問題、これらの患者間の內的関係を明らかにする。各部門?各分野の協力、ビッグデータの運用により結果を導き出すことができる」と述べた。
米國のインフルエンザと新型コロナウイルスとの関連性について、楊氏は「可能性がないわけではないが、科學的な証拠が必要だ。米國の一定數のインフルエンザ患者の検體により患者の3分の1もしくは2分の1が新型コロナウイルスを持つことが分かり、武漢の最初の新型肺炎患者が米國人との接觸歴もしくは米國への渡航歴を持ち、かつ體內のウイルスが米國で流行している新型コロナウイルスと相同性を示した場合にのみ、武漢の新型コロナウイルスが米國由來であることになる。これは米國の科學研究者がこのような遡及研究活動を行うか、研究結果を公表するかによって左右される」と述べた。
王氏は「世界はすでに一體化を実現し、相互に頻繁に行き來しており、一國だけではウイルス蔓延を予防?抑制できない。中國の科學研究者が研究成果を世界に公表している以上、國際社會も全力で協力し、國を跨ぐ研究と論証により世界各地の新型コロナウイルスが同一種であるか、遺伝子配列上の差はあるかを明らかにし、その他の感染源があるかを判斷しなければならない。うち世界保健機関(WHO)もより大きな力を発揮し、各國間で調整し、ウイルス感染ルートを極力遮斷するべきだ」と指摘した。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2020年3月2日