衛(wèi)生部は中國で初めての「全國住民手洗い狀況白書」を発表した。白書によれば、北京、遼寧、浙江などの５つの省と市での調(diào)査で、正しい手洗いのできている住民はわずか4％という結(jié)果になった。住民の文化水準(zhǔn)が高いほど、正しい手洗い率は上昇する傾向を示している。　

9割以上の中國人は手洗いが「できない」。――この調(diào)査結(jié)果は多くの人々を驚かせた。もちろん、これは中國人が衛(wèi)生を重視しておらず、手洗いが嫌いだということを示しているのではなく、正しい手洗いの方法を身につけていないということだ。世界保健機(jī)構(gòu)の「手洗い基準(zhǔn)」に基づいて「正しい手洗い」ができている人は、おそらくどれほどもいないだろう。たとえば、節(jié)約のために手洗いの際に長い時間水を流さないようにする人は少數(shù)ではない。　

正しい手洗いの方法は、おのずから一種の科學(xué)的素養(yǎng)であると言える。90%の國民が手洗いできないのは、事実、國民全體の科學(xué)的素養(yǎng)の低さの表れである。少し前に行われた中國公民科學(xué)素養(yǎng)調(diào)査の報告によれば、2010年に中國で基本的な科學(xué)的素養(yǎng)のある國民は3.27%であった。これは、日本やカナダ、EUなどの首相先進(jìn)國の1980年代末の水準(zhǔn)だ。科學(xué)的素養(yǎng)は文化レベルと同様、社會の進(jìn)歩、経済の発展と不可分のものであり、中國と先進(jìn)國の格差を考えれば、國民の科學(xué)的素養(yǎng)指數(shù)が少しばかり低いのは當(dāng)然のことだと言える。しかし、これほどまでに低いのはやはり正常ではない。　

近年、中國全土の多く場所でランドマークとなる大型の公共文化施設(shè)が建設(shè)され始めている。これらの文化施設(shè)は、投資額が巨大で施設(shè)が先進(jìn)的であること、管理運(yùn)用コストが高いため、無料開放されていないことなどの共通點(diǎn)がある。それに比べて大衆(zhòng)向けの文化資源の配置はわずかにあるか、全くない地域もある。ある意味において、中國人は、実際は勉強(qiáng)嫌いなのではなく、科學(xué)が嫌いなのでもない。ただ科學(xué)の普及を進(jìn)める文化的な環(huán)境、雰囲気がとても希薄だったことが、民衆(zhòng)の科學(xué)技術(shù)に対する注目度が長期にわたって低い狀況を招き、科學(xué)的素養(yǎng)が低いことは免れがたい狀況となった。2010年の上海萬博が異常な盛り上がりを見せたのは、まさにこれまで長い間蓄積されてきた人々の科學(xué)に対する情熱が一気に解放された結(jié)果であったと言える。　

隣國の日本では博物館?科學(xué)技術(shù)館が無數(shù)にあり、國立のものから、個人、民間のものなど様々である。特に面白いのは、數(shù)の多さではなく、その內(nèi)容が個性豊かで多種多様なことだ。一冊の本、一枚の絵から庶民のおやつに至るまで様々な博物館がある。これらの小さな博物館も軽視すべきものではなく、日本人の文化の受け皿となっているばかりか、伝統(tǒng)文化の保護(hù)にも重要な役割を果たしており、知らず知らずのうちに科學(xué)の普及を大きく推進(jìn)させる力となっている。翻って中國では、科學(xué)の普及、文化の深耕と宣伝、普及にしろ、科學(xué)の普及に対する財源の投入、行政の力をもって社會の科學(xué)に対する理解と関心を高めることにしろ、未だ不十分だ。　

改革開放以來、中國では経済の発展と都市の建設(shè)に力を注いで大きな成果を上げたが、社會文化領(lǐng)域に投入されてきた力ははるかに不足していた。90%以上の國民が正しい手の洗い方さえ知らないということは、一刻も早く埋め合わせなければならない國民の精神と文化の養(yǎng)成をしてこなかったツケは非常に大きいことを十分に示している。

「中國網(wǎng)日本語版（チャイナネット）」2011年10月23日