20日、西日本で唯一稼動していた関西電力の高浜原子力発電所3號機(福井県高浜町)が定期検査のため、発電を停止した。これにより関電の原発11基はすべて停止した。日本には全部で54基の原発があるが、現在も稼動しているのは、東京電力の柏崎刈羽原発6號機と北海道電力の泊原発3號機のみ。4月末にはこの2基も定期點検に入るため、日本の原発すべてが停止する。原発所在地の行政當局は日本政府に新たな安全基準を定めるよう要求しているが、日本政府は消費稅問題などに手一杯であり、これらの原発がいつ再稼働するかは未定である。日本の電力供給の30%を占める原発が稼働しなければ、今年の夏も電力不足に見舞われるのは必至である。
原発がなければ、火力発電に頼らざるを得ないが、それだけでは日本の電力供給は保証できない。関西電力は今冬、企業や家庭に対し10%の節電を求めたが、実際は4~5%にとどまった。関西電力の八木誠社長は會見で、「寒波による電力需要の急増や発電所のトラブルなど不測の事態によっては需給が逼迫することも考えられる」と危機感を露わにした。
経済産業省資源エネルギー庁の予測では、“原発ゼロ”を前提にした関西電力の今夏の供給狀況はマイナス25%と大幅に不足する。電力不足を緩和するために、各電力會社は電力の融通を行っているが、原発が稼働しなければ、どの電力會社も今夏の電力使用ピーク時には電力がひっ迫する見込みである。政府は「電力制限令」を出して、企業や家庭に大幅な節電を求めるほかない。しかし、富士通や日立、シャープ、パナソニックなどは節電する余裕がないことを発表しているし、一般家庭もすでに節電の限りを盡くした。つまり、日本メディアの言葉を借りれば、日本の電力は「危機」に直面している。
また、火力発電のみに頼れば、電力會社は大幅な赤字となる。試算では、原子力発電をすべて火力発電にかえると、電力會社は年間3兆円のコスト増に見舞われる。日本の電力會社9社の決算(2011年4月~12月分)をみると、原子力設備の無い沖縄電力以外の8社はすべて赤字だった。そのうち、東京電力は6230億円、東北電力は1677億円、関西電力は1181億円と深刻な赤字を出した。2012年、すべての原発が停止すれば、この赤字はさらに膨らみ、近いうちに電力會社は電気料金の引き上げを行うに違いない。そうなれば、企業や家庭の負擔が増し、日本経済にマイナスの影響が及ぶ。
そのほか、火力発電用燃料の輸入が日本の貿易赤字の一因となっている。財務省が発表した貿易統計によると、日本は2011年、2兆4927億円の貿易赤字となった。これはオイルショックの影響をうけた1980年以來31年ぶりの赤字である。原発がすべて停止されれば、火力発電用燃料の輸入額は毎年3兆円に上るため、日本の貿易赤字は長期的に続くことになる。これは貿易大國の日本にとって大打撃である。
さらに深刻なことは、火力発電用燃料の液化天然ガス(LNG)の確保が難しくなることだ。2011年、日本はLNG の28.1%をカタールやオマーン、アラブ首長國連邦など中東諸國から輸入している。しかし、歐米諸國とイランとの対立が激化しており、狀況が悪化すれば、ホルムズ海峽が閉鎖され、約3割のLNG輸入にも影響がでる可能性がある。日本は石油を戦略的備蓄エネルギーに指定し、200日の備蓄量を保障するよう規定しているが、LNGは戦略的備蓄燃料に指定されていないため、備蓄量の基準がなく、現在の在庫量はわずか3週間分しかない。中東で不測の事態が発生すれば、日本の火力発電は危機に直面するだろう。
火力発電用燃料の問題を解決すべく、三菱商事など日本の企業は積極的にカナダなどの油田の権利獲得に乗り出しているが、問題の解決には至っていない。日本政府はこのほどアメリカ政府と會談を行い、アメリカ産LNGの対日輸出許可を求めた。しかし、アメリカはLNGを戦略資源に指定しており、輸出を制限している。アメリカが対日輸出の許可を下したとしても、日本の必要量を満たせるかどうかは不透明である。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2012年2月23日