依然としてうだるような暑さが続く9月中旬の広州。小北路を白雲山の方へ向かうと、肌の色が異なる、各種各様の衣服を身に著けた外國人が大きな荷物を持って忙しく行き交う姿が目に入る。ガーデンホテルの方へ目を向けると、レストランやバーも外國人客でにぎわっている。
「出國」はとりたてて珍しいことではなくなった。それと同時に、ここ數年、外國人が中國に住んだり、中國で働いたりすることも中國の社會や経済、生活の中でだんだんと無視できないものとなっている。発展途上の大國である中國は、世界、とりわけ他の発展途上國からの「入國ラッシュ」といかに向き合うべきか。このことは、中國の外交から社會までの各方面に影響する重要な問題となっている。
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先進國からも発展途上國からも
全國の各省?自治區?直轄市の中で外國人出入國者數がもっとも多い地區の一つである広東省の出入國管理部門の統計データによると、今年上半期、同省から出入國した外國人の數は615萬人に達し、全國の30.4%を占めた。また、広東省に臨時滯在している外國人は114萬7000人、常住している外國人は5萬7793人にのぼり、181カ國からやって來た3萬7100人が同省で就労し、労働部門の管理下に組み入れられている。
「自分は『外國人出稼ぎ労働者』だと思う」。そう語るのは日本人の平岡省吾さん(31歳)。「広州で不動産賃貸仲介業に従事する一人の人間として、私は日本と中國の両方のお客様のために『出稼ぎ労働』をしているのです」
早稲田大學を卒業した平岡さんは、2年前、日本の某大手企業の中國駐在所での仕事を辭めて自ら事業を起こそうと決心した。「當時は日中間のビジネスや人の往來が急速に増えていて、彼らに適當な仲介サービスを提供することは巨大で開発の余地がある市場に違いないと思ったのです。この考えが正しかったことは、2年間の経験でも証明されました」
広東省の出入國管理部門の統計データによれば、2009年上半期現在、広東省常住の外國人上位5位は日本人、韓國人、米國人、インド人、フィリピン人。
実際、歐米や日本などの先進國の就労人口のほか、中東やアフリカなど発展途上國の人々も「出稼ぎ」にやって來るようになった。広州の小北路と環市路一帯には、數萬人のアフリカ人が集まってビジネスや生活をしている。
広東省外事弁公室領事処の羅軍処長は、「外國籍の就労人口が安定して増え続けているのは、中國市場が金融危機の打撃を受けても依然として吸引力を維持していることを意味している。彼らはかつての「來賓」や「過客」といった存在から、広東の経済や社會と密接不可分の要素に変わりつつある」と話す。
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「入國ラッシュ」の背後で
しかしその一方、広東省では外國人が増えたことにより、「不法入國、不法滯在、不法就労」の外國人も増加し、さまざまな社會問題を引き起こしている。特にここ數年はアフリカ籍の人々の「不法入國、不法滯在、不法就労」問題が深刻化し、広東省は社會管理と治安秩序の維持の面で新たな試練に直面している。
これに対し、広東省は多方面から解決を図り、「大きな枠組みでの外國人管理」體制の構築に著手した。目下、外國人に対するサービスや管理を強化し、「不法入國、不法滯在、不法就労」及びその他の違法行為の増加を斷固として食い止め、広州及び深圳の96の街、鎮に外國人管理サービス所を設置して和やかな雰囲気の管理に努めると同時に、外國人の違法行為の防止や取り締まりにも力を入れている。
外國人登録者數が85カ國3000人余りにおよぶ広州市越秀區登峰街には、広東省初の外國人管理サービス所が設立され、登峰街司法所にも広東省初の外國人法律普及連絡所が設置された。登峰街司法所の劉靖所長によると、司法所は中國の法律を英語、フランス語、アラブ語などに翻訳し、それを小冊子にまとめて外國人に配布しているという。また、広州大學法學院と外國人法律普及サイトを開設し、大學生のボランティアと一緒に外國人法律普及活動を行ったり、弁護士事務所と協力して外國人に専門の法律サービスを提供したりしている。
広東省の工商部門も外國人の違法な経営活動の調査と取り締まりを強化している。広東省外事弁公室によると、広東省は渉外管理業務を強化し、外國人の管理と渉外案件の処理をしっかりと行うとともに、外國公民の合法的権利の擁護を重視し、関係國の駐中國領事館が自國の公民を保護するのに必要な協力を提供している。
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外國人管理は新たな段階へ
広東省人民政府外事弁公室渉外安全処の歐陽江旋処長は、「『不法入國、不法滯在、不法就労』はグローバル化によってもたらされた世界的な問題であり、これは広東省や中國特有の問題ではなく、周辺の先進國や地域も同じような問題に直面している」と語る。
「発展途上の大國である中國、特に東部沿海地域の突出した経済成長が開発の遅れている國や地域の人々を引き付け、大挙して押し寄せる大きな原因となっている。ただし、発展途上國が世界的な規模で他の発展途上の國や地域の人々を引き付けることは、歴史上あまり例を見ない。これも、中國の社會管理や公共サービスにとっての新たな課題となっており、法律法規にさえ空白や立ち後れが存在している。末端職員の経験が不足しているのは言うまでもなく、処理に困る問題が非常に多い」
広東省の工商管理部門と人事行政主管部門によると、この2つの領域では、法律法規が互いに関連しておらず、衝突することさえあり、あるいはひどく立ち遅れているという狀況が目立つという。
ある社會學者は、「長らく、中國は一貫して「出入國管理」の理念を抱いてきたが、対外開放の窓口、門戸である広東省が直面している新たな狀況、新たな問題は、全國という大きな背景の下で考え、認識すべきである」との見方を示している。
また、ある研究者は次のように語る。「現在の狀況から見ると、多くの問題は入國ビザの問題に集中している。これはつまり、私たちはまだ、現在起こっている外國人「入國熱」に向き合う準備ができていないということである。先進國の経験に鑑みると、入國者の大量増加によって試されるのは、その國の移民政策である。中國は発展途上の國でありながら、先進國が遭遇する問題にも直面している。対外交流の戦略思考の中に「移民」という要素をしだいに取り入れるべきか否は、一考する価値があるだろう」
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「チャイナネット」 2009年10月20日
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