より広い視野から見ると、今の米國には対テロよりも重要なグローバル戦略目標が明らかに存在する。過去10年は米國にとって基本的に「対テロ」の10年だった。米國は今後10年を再び「対テロ」の10年にすることは望んでいない。対テロ戦爭は米國のグローバル戦略に資する面もあったが、無駄に長引いた対テロ戦爭は結局國力を消耗させ、対テロの名を借りたいくつかの行動は世界の反感を招きもした。近年の世界金融危機によって米國のハードパワーとソフトパワーはさらに損なわれた。米國は政府も國民も喫緊の課題は経済を盛り返し、よりよく試練に対処することだと強く感じている。
新戦略に対テロ関連政策への論評はない。米國にとって対テロ戦爭はまだ終りの時期が見えていないようだ。ビンラディンが生きている時は「一國対一人の戦爭」だった。ビンラディンが死ぬと「一國対一イデオロギーの戦爭」になった。5月1日の夜、ホワイトハウス前でビンラディンの死を祝っていたのはほとんどが若者で、年配者の多くは黙って傍観していた。そのうち何人かは筆者に「道義的に人の死を祝うべきではないし、これが終結には程遠いことも明らかだ」との考えを述べた。テロの根源について現在の米政府はその內因性をより強調し、自國の外交政策との関連性については語っていない。
「人民網日本語版」2011年7月4日