第3の遺産はどこか捉えがたい孫文に遡る。彼は中國人の意識に生じた近代性の最初の火花を代表している。孫文の殘した様々な思想は完全には程遠いが、外の世界から學ぶと同時に、中國の伝統的価値観を肯定するという開明的な呼びかけの要素も含まれる。孫文の民族主義の呼びかけには二大前提がある。1つは民主主義的理想の尊重、もう1つは貧しい農民大衆を千年來の低い身分から解放することだ。この遺産は英米系の理想をある程度殘しており、中國の大地には根付くことのできなかったものだ。
第4の遺産を提示するのは躊躇される。上述の3つの遺産を前にして、これを第4の遺産と認識する人は少ないと思うからだ。だが國家のガバナンス改革について熟考している人の多くが、1911年以前の文獻に啓示を求めているのも確かだ。そのよく知られた例として「人間本位」「社會調和の追求」「敬老」「家庭を大切にする」「伝統の尊重」が挙げられる。
中國の目標が進んだ、安定した、広範に評価される國家の建設であることに疑いはないだろう。この目標を達成するため、多くの優れた頭脳が各種各様の方法を懸命に検討している。彼らが全員一致する観點が1つだけある。中國はどうなろうとも、その歴史が常に獨特であったゆえに、他國とは異なるということだ。
「人民網日本語版」2011年8月17日