米紙ワシントン?ポストは先日、國連気候変動枠組み條約第17回締約國會議(COP17)での合意の実行は歐米やアフリカ諸國ではなく、アジアにかかっているとする記事を掲載した。記事はEU幹部や気候専門家の見解を引用し、アジアの大量排出國である中國とインドに取り組みの重點を置くべきだとしている。
こうした見解は「共通だが差異ある責任」の原則に挑むものだ。
京都議定書は第一約束期間(2008~2012年)に、附屬書I國全體で1990年比5.2%の排出削減を義務づけている。內訳はEUが8%減、米國が7%減、日本とカナダが6%減で、オーストラリアには8%の増加を認めている。國際エネルギー機関(IEA)がCOP17の前に発表した、化石燃料燃焼による各國の二酸化炭素排出量データによると、1990年から2009年までに附屬書I國の実際の排出量は6.4%削減されたが、その大部分は先進國ではなく移行期経済國によるものだ。先進國の排出量は削減どころか、逆に4.4%増加している。內訳は日本が2.7%増、米國が6.7%増、カナダが20%増で、オーストラリアは51.8%も増加している。先進國の多くは、第一約束期間の排出削減目標の達成が全く見込めない。米國は先見の明があったようで、早くも01年に京都議定書からの離脫を宣言し、カナダもCOP17閉幕直後に離脫を宣言した。先進國政府は資金?技術移転の約束の履行において、しばしば民間セクターの動員や知的財産権の保護を口実に、自らの責任を極力避けてきた。
気候変動交渉の推進には全ての國が協力を強化し、相互信頼を構築することが必要だ。だがこれは責任を明らかにし、義務を履行することが前提だ。途上國と先進國は異なる発展段階にある。先進國はすでに工業化と都市化を完了し、人口は安定しつつ減少し、経済構造はサービス業は中心で、インフラ建設は基本的に完了しており、將來的な排出ニーズは限られている。すでに排出量が自然に減り始めた國もある。一方、無數の途上國は貧困や國民の基本的ニーズが満たされていないのが普通で、工業化と都市化を実現しなければならなず、これはエネルギー需要と溫室効果ガス排出の増加を必然的に伴う。気候変動分野の公平原則においては、各國の歴史的責任、現実的能力、および溫室効果ガス排出削減への努力を十分に考慮すべきだ。
COP17で中國、インド、ブラジル、南アフリカの「BASIC」4カ國は「持続可能な発展の公平な獲得」と題する報告書を発表し、「共通だが差異ある責任」の原則に基づき、2050年までの世界の気溫上昇を2度以內に抑えるには、世界で排出可能なカーボン?バジェットは限られていると指摘。途上國は公平なカーボン?バジェットを獲得し、気候変動対策の成果を公平に共有し、國民の生活向上と貧困撲滅の余地を勝ち取るべきだと主張した。スウェーデン?ストックホルム環境研究所など多くの國際機関による、各國の2020年までの排出削減約束に関する研究結果では、実際の排出量がベースラインシナリオとどれだけかけ離れているかという視點で気候変動対策への貢獻を見ると、実際の排出削減量は途上國が先進國を明らかに上回っている。4カ國の専門家は「先進國は地球溫暖化に対して逃れられない歴史的責任を負っており、一層の排出削減を約束するとともに資金不足を補わなければならない」としている。
途上國の絶対的排出量が増加し続けているのは事実で、これはその置かれた発展段階によるものだ。一方で、途上國によるグリーン?低炭素経済の発展を通じた気候変動対策への貢獻も國際社會全てが認めるところだ。特に中國は積極的な行動を通じて第11次五カ年計畫の気候変動対策目標を達成し、2015年と2020年までの排出削減目標?行動を決定し、低炭素エネルギーの発展では先進國に先んじてすらいる。中國を含む途上國の排出削減努力を、先進國の責任逃れの口実にさせる理由はない。
「人民網日本語版」2011年12月16日