資金不足で建設中止となった工事現場
また、アイルランド自身から見れば、債務危機の誘因は「経済成長神話」の破綻である。前世紀90年代、アイルランドはそれまでの債務にまみれ経済的に困窮した狀態から一躍「ケルティック?タイガー」へと転身した。その頃、すっかり生気を失っていたヨーロッパにおいて、アイルランドの二桁の経済成長は、一つの成功範例として世界中にその噂を広めた?!弗ⅴぅ毳楗螗煞绞健工魏诵牡拿卦Eは、低稅率で海外からの直接投資を引き込み、アイルランドを、世界資本がヨーロッパに投資するための足がかりにし、そこから不動産業等の産業を急速に発展させたのである。
しかし、金融危機がこの神話を終結させた。2008年、アイルランド不動産はバブル崩壊、國家全體の1/5のGDPを失った。ここから政府の財源が枯渇したにもかかわらず長年に渡って積み重ねてきた支出は高止まりし、財政危機に陥った。更に、國內銀行の貸付はそのほとんどが不動産及び公共部門に集中しており、いずれの銀行における困窮も、連鎖反応を引き起こす可能性がある。財政危機と銀行危機、これが市場のアイルランドに対する二大憂慮となっている。
ギリシャの債務危機同様、アイルランドの問題を解決するカギは、アイルランド政府ではなく、EUと歐州中央銀行にある。だからこそ、アイルランドの債務問題深刻化は現在のユーロ構造における「先の失敗」が完全には「修復」されていないことを露呈している?!笟W州金融安定基金」にせよ、歐州中央銀行にせよ、今のところ、市場のアイルランド諸問題に対する恐慌狀態を取り除くすべがないのだ。
ギリシャ債務危機後に創設された「歐州金融安定基金」だが、いまだ市場安定化作用を果たしていない。なぜなら、それは本物の金や銀ではなく、ただの「システム」に過ぎず、実際に融資を行う際にはやはり様々なリスクが存在するためである。また、本基金に援助を受けるには、ある條件が設定されている。それは主に、アイルランドに稅率を引き上げさせるというものだが、アイルランドにとってみれば、債務自體と比べた時に、その援助の條件を飲むのはかなり難しいのではないかと市場は憂慮する。