泡と化した「原発の復興」
數年前、日本の企業家を取材した際、ほどんどの企業家が、中國やインドなど新興國家の経済発展がエネルギー需要を高めると予想していた。1979年のスリーマイル島原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故以降、技術の向上により、原子力発電の安全問題は解決され、原子力発電の復興は目の前まできていると見られていた。
「集中こそが企業戦略を考える上での重要な原則である」。數年前、東芝の上層部はこのように述べた。當時、東芝は経営資源を半導體へ集中投下していた。
東芝は2006年に米原子力発電メーカーのウエスティングハウスを買収し、2種類の原子力発電技術(沸騰水型と加圧水型)をもつ企業となった。買収金額は54億ドル(6200億円)。當時の東芝役員は買収に際し、「新興國のエネルギー需要にせよ、二酸化炭素排出削減にせよ、原子力発電はよい解決方法となる」と述べていた。とりわけ、アメリカのブッシュ政権が原子力発電を再評価してから、原子力発電の復興が時代の潮流となった。
東芝は元々2015年までに、原子力発電事業の年間販売額を現在の5000億円の2倍となる1兆円(110億ドル)にしようと計畫していた。
日本の民主黨政権は國外に日本の原子力発電技術を推進することに関して、自民黨よりも積極的だった。「これは二酸化炭素排出削減だけでなく、石油?石炭依存問題を解決する有効な方法である」。民主黨の議員は中國新聞周刊のインタビューでこのように述べた。ベトナムが日本の原子力発電技術を導入したのは、民主黨の積極的な後押しがあったからである。
しかし、福島原発の事故により、原子力発電の復興は泡と化してしまった。東京電力が原発事故の処理に使う費用は1兆円近くにのぼると見られている。また、原発周辺住民に対する賠償金額も數兆円に上るという。この賠償金額はすでに東京電力の経済能力を越えており、日本政府がその連帯賠償責任から逃れることはできないだろう。(作者:コラムニストの陳言氏)
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月8日