?不公平な一次分配が元兇

そもそもの問題は、高度経済成長と共生するはずの中産階級はどこに行ったのか、ということである。

改革開放後の政策という側(cè)面から述べると、中産階級を根付かせることは執(zhí)行政黨の長きにわたる目標(biāo)であった。1990年代以來、執(zhí)行政黨は「ゆとりのある社會の全面的構(gòu)築」を推し進めており、近年はさらに、「オリーブ型」社會の構(gòu)築に力を注いできた。それなのに、どうしてこの政策目標(biāo)は実現(xiàn)されていないのだろう。

これには複雑な要因がからんでいる。どんな社會にとっても中産階級を根付かせることは困難な試みではあるが、政策がその重要な要素になることは疑いの余地がない。政策の観點から中國の現(xiàn)狀を考えれば、政策の失敗と執(zhí)行力の欠如が重大な原因になっていることは容易に見てとれる。

中國社會では階級によって収入分配に大きな差があり、中産階級が育っていないことが如実に表れている。また逆にこれが、中産階級の成長を妨げてもいる。収入分配の差は経済構(gòu)造に起因しており、つまりそこに一次分配の問題がある。まず第一に、國有企業(yè)と民営企業(yè)の不均衡がある。中國は元來は計畫経済であった。都市部の住民はみなそれぞれの國有企業(yè)や政府の各部署で生計を立て、少數(shù)の特権階層以外はみな「貧困社會主義」の低い生活水準(zhǔn)だった。農(nóng)村改革を進め私有企業(yè)発展を許容した80年代から、民営化過程を「縮小」した90年代までは、國有企業(yè)と民営企業(yè)の平衡狀態(tài)は基本的に保たれていた。実際、中産階級の成長が最も早かったのもこの時期である。

しかしその後、特に2008年の世界金融危機発生以降、國有企業(yè)の範(fàn)囲が大幅に拡大され、民営企業(yè)はかなりの圧迫を受けるようになった。國有企業(yè)が、國家戦略として元來位置づけられた産業(yè)範(fàn)囲の構(gòu)想を離れ、民営企業(yè)に屬していた範(fàn)囲まで拡大した結(jié)果、それまで保たれていた基本的な平衡狀態(tài)はあっさりと崩壊してしまった。この過程で「中央企業(yè)」は悪役を演じさせられており、ここ數(shù)年、「中央企業(yè)化」は中國の経済構(gòu)造の新たな特徴となっている。即ち、地方の國有企業(yè)であろうと民営企業(yè)であろうと、こぞって中央企業(yè)に依頼したり中央企業(yè)と同盟を結(jié)んだりするという構(gòu)造である。

この中央企業(yè)の大幅な拡大は「國豊民貧（國が豊かで民が貧しい）」と呼ばれる社會を生み出した。そして中央企業(yè)は行政と政治権力にものを言わせ、獨占的に巨額の利益を得た。これは中國全體の生産力水準(zhǔn)に深刻な影響を與えただけではなく、収入分配に対してもより深く影響し、社會の不公正を助長することにもなった。長年にわたって中央企業(yè)は、利益が出れば自らの懐に入れるが損害が出たら國家に助けを求めるといった具合の、國家や社會の指導(dǎo)や監(jiān)督を受けない「自制分配」の體制で運営されてきたからである。

また、大企業(yè)と中小企業(yè)の平衡狀態(tài)が失われたこともこれに関連している。どのような社會でも言えることだが、特に東アジアにおいて、中小企業(yè)は収入の公平な分配を擔(dān)う主要な仕組みのひとつである。ところが中國では、國有企業(yè)が成長するほどに、中小企業(yè)が生き殘り成長できる分野は限られてくるのである。中央政府は中小企業(yè)を発展させることの重要性を再三強調(diào)してはいるものの、莫大な資源を握る國有企業(yè)（銀行を含む）には、中小企業(yè)に有利な政策を?qū)g行する力がない。このような経済構(gòu)造を変えられない限り、一次分配が基本的な社會正義と公平のもとに行われるようにはならないだろう。