中國は改革開放後30年以上にわたって高度経済成長を続け、世界経済史に殘る奇跡をなしてきた。そして今や、日本に代わり世界第二の経済大國となった。しかし、人々が見逃している側面がひとつある。社會構造に目を向けたとき、中産階級の規模が相當小さく、少數の富裕層以外の大多數が貧困層であるという點である。「両極が少なく中間が多い」というオリーブ型社會、即ち中産階級社會を中國は実現していないのである。
?社會構造はラテンアメリカに酷似
この現象を東アジア経済社會成長史に照らして考えると、中國社會構造の奇形ぶりはより際立つ。東アジア初の近代化した経済國は日本であり、それに続いたのが「四小龍」(臺灣?韓國?シンガポール?香港)であった。これらの経済體の成長経緯はおおかた類似しており、どの経済體も約20年の間にめざましい経済成長をとげ、結果として非常に大きな規模の中産階級が形成された。こういった経済體において、中産階級は社會のさらなる発展と改革の原動力であるのみならず、社會安定の基礎にもなっている。
中國の経済成長過程も他の東アジア経済體と似通ったもの(いわゆる東アジアモデル)だと考える人も多くいるが、社會構造から見て、中國が他の東アジア経済體と性質を異にするのは明らかであり、それはむしろラテンアメリカの國々に近い。近年中國國內では、中國は「ラテンアメリカ化」するのか、既に「中産階級収入の落とし穴」にはまっているのではないかといった議論が盛んだが、こういった話題も全く根拠を欠いたものではないのである。
事実、中國は中産階級が少なすぎることで社會的安定の問題が各所に出てきており、社會の高度文化、総合的な道徳概念と信仰の欠如、社會信用などの問題が日々深刻になりつつある。社會的な価値と理想に関する思想が過激になり、往々にして極端な「左寄り」か「右寄り」によって社會が主導される狀態であり、中産階級欠落の中、権力者と貧困層の間に軋轢が生じ、社會全體に不安定感が漂っている。