故障原因を隠したこと、緊急事態への準備不足、賠償を斷固拒否する姿勢には、いずれも計畫経済の色が濃く出ており、これは長期にわたって市場競爭に「確固たる地位を持つトップ」が欠けていることで生じた欠點だ。しかし、このような「トップ」は、高速鉄道ができたら自身の市場での地位も変わることを理解していなければならない。
既存の鉄道は乗車料金が安く、収容力が限られており、経営を改善しなくても切符の入手が非常に困難ということはしょっちゅうで、「獨り勝ち」と言うべきだろう。一方、高速鉄道は十分な収容力があり、乗車料金が高く、買い手市場、供給過剰と言ってよい。また、民間航空というライバルがおり、両者の力はほぼ同等で、マーケティング方法とサービスがよくなければ、空席率の上昇につながりかねない。特に、2209億元を投じた京滬高速鉄道は、経営の善し悪しで投資回収期間の長さが直接決まる。
このような競爭を前に、鉄道はハードウェアだけに頼って発展を目指してはいけない。これまで中國は高速鉄道の大規模な建設段階にあり、鉄道の発展は主に設備の現代化の加速に頼っていた。現在は高速鉄道の大規模な運営段階に來ており、よいレール、車両、駅があり、さらにきめ細かいサービスと運営の市場化を加速する必要がある。言い換えれば、これまでの発展は建設に頼っていたが、今は改革に頼らなければならず、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせてはじめて旅客輸送を迅速かつスムーズに行い、貨物輸送量を増やし、物価コストを下げることができる。
改革は難しいが、手段がないというわけではない。その答えは乗客にある。鉄道の旅客輸送市場は乗客に與えられたもので、乗客の期待こそが鉄道サービスの改革の方向である。また、同業者にも答えはある。海外の高速鉄道を長年運行し、市場の洗禮を何度も経験した同業者から、緊急事態や賠償などにおける完備されたシステムと基準を導入してもよいだろう。
実際に鉄道改革はすでに待ったなしの狀況に來ている。ここ數年、中國の鉄道営業距離數は急速に増加し、設備の現代化レベルも年々高くなっているが、鉄道の輸送市場全體に占めるシェアは低下し続けている。2010年の鉄道の旅客?貨物輸送市場におけるシェアは2000年よりそれぞれ約5ポイントと11ポイント低下した。市場認識と競爭力が欠けているため、本來もっとも低炭素で経済的な鉄道輸送は市場の半分を譲り、「トップ」の地位を失った。
高速鉄道が大々的に市場に導入された今は、鉄道にとって改革を実施する絶好の時期で、歴史的なチャンスでもある。鉄道部門は高速鉄道を突破口として改革を進め、サービスを改善し、輸送市場に占めるシェアの向上を図ってもよいだろう。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年7月14日