米政府の債務上限引き上げは、世界経済を回復させる上で迫る危険を一時的に取り除いたが、米債務危機が世界経済にとって一大リスクであることは今も変わらない。まもなく実施される引き上げも合わせると、米國の債務上限は9年前の6兆4000億ドルから16兆7000億ドルに増加する。また米國は、向こう10年の3兆ドルの赤字削減を承諾する方針だが、米國がこのような約束を果たせる可能性は未知數である。巨額の債務がある中で、米國が経済成長、増稅、支出削減などに頼って債務を消化できなければ、インフレと米ドルの切り下げがやはり米國にとって最良の選択となる。
米政府の債務上限引き上げは、中國にとって諸刃の剣である。短期的に見れば、米國経済は二番底と量的緩和策第3弾の実施から免れ、世界の金融市場のリスクは低下する。また、中國経済の安定した成長を助けることになる。米國が中國にとって最も重要な輸出市場の一つであることは間違いない。その一方で、中國が保有する米ドル資産の安全性が高まり、人民元の対ドルレートも安定に向かう。長期的に見れば、今回の共和黨と民主黨による債務上限をめぐる爭いは、「國內の政治爭いのため、米國は債権者の利益をおろそかにもできる」という警鐘を鳴らした。このたび米國は、債務の不履行と増加のジレンマに直面している。債務削減の際に國內政治の妨げがあれば、債務の不履行と転嫁のジレンマに直面し、狀況は今以上に悪化するだろう。現在の米ドル資産を集中保有するという狀況を変える必要があることは間違いないが、それ以上に、米ドル資産の買い越しを続けるという動きを変えることが重要だ。これには、経済発展モデルからの根本的な調整が必要である。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年8月2日