イギリス「デイリー?メール」紙公式サイト8日付け記事
米國債の格下げは、米國にとって瀬戸際というだけでなく、世界にとっては更にそうである。
グローバル化した経済と政治には関連性がある。それが原因で、1945年以降、特に20年前の冷戦収束以降、他國を言いなりにさせてきた米國が作り出した災いにより、私たちはどこにも逃れることはできなくなった。
ここ數週間、政治指導者に対する米國人の信頼は大幅に低下している。また、主権債務危機により、ヨーロッパ人の指導者に対する信頼もそれほど高くない。資本主義はすでに危機にさしかかっている。80年前、銀行業の崩壊でヨーロッパは混亂に陥り、戦爭の口火が切られた。ここにきて、自由市場に対する信念が再び揺るがされた。
中國という世界2番目の経済國に人々の注目が集まっている。米國が統制した冷戦後のグローバル制度がすでに窮地に陥ったと言えば、この新興経済大國は救いの手を差し伸べるだろうか。
今週末、北京は太平洋の向こう側の超先進國への非難に明け暮れた。ここ30年、世界一の人口を擁するこの大國は、その臺頭のプロセスで控え目な姿勢を維持してきた。世界一の製造業大國に成長する過程でも、外部の強大な勢力を気にしていた。ところが、今は謙遜の姿勢を捨て、2008年に世界経済がどん底に陥った際は経済の力強い復興の経験で他國を言い聞かせた。
米國の「負債癖」と「目先の利かない政治口論」はその主な攻撃の的となり、米FRBの量的緩和策も非難されている。
今週末、北京は一歩進んだ行動に出た。新華社を通して、米ドルの監督管理を國際社會に呼びかけ、安定かつ安全な新しい世界備蓄通貨を導入することが災難回避の選択の一つだと唱えた。ところが、これは長期的な問題であり、家にすでにひびが生じているときに建築基準の向上を唱えるようなものだ。中國は、短期的に大きな行動には出ないだろう。外貨準備を使ってイタリアやスペインの國債を大量購入する可能性はまず低い。
表面的には鮮やかな中國だが、実は深いジレンマに陥っている。米國に責任感を求めているが、それで対米輸出が減少すれば損することになる。新しい國際金融システムの立ち上げを望んでいるが、輸出を維持するため、自國通貨を掌握し、その価値を抑えようと努めている。そのため、向こう數週間も慎重な姿勢を堅持すると考えられる。
ところが、米國の苦難は中國の聲望を高めるに違いない。世界金融市場が混亂している今、すべてのことが不確かだが、これだけははっきり言える。それは、世界の経済勢力の中心は東方に移りつつあるということだ。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年8月8日